将棋の8大タイトルの1つ棋聖戦で、藤井聡太七冠が挑戦者の山崎隆之八段に勝ち、初めての永世称号となる『永世棋聖』の資格を獲得し、最年少記録を53年ぶりに更新し話題になっています。
21歳で初タイトルでも十分凄いのに、21歳で永世称号とは…異次元としか言い様の無い記録だと思います。
将棋には疎い自分でも、藤井聡太さんがすごいのはわかります。
今回は、将棋の永世称号や8大タイトルの条件などをわかりやすく解説していきたいと思います。
目次
将棋の永世称号とは?
永世称号は将棋のタイトルを一定の回数獲得すると与えられる呼び名のことで、タイトル戦における『殿堂入り』とも言われています。
棋士にとってタイトルは1つでも獲得すればその時代を代表する棋士となりますが、永世称号はいわば、
歴史に名を残す名棋士
の証しとなっています。
永世称号は基本的に引退後に名乗ることが出来ます。
しかし、無冠などの場合は60歳から名乗ることが通例化されているようです。
引用元 : 将棋ライター 松本博文さんより
現役棋士の中では谷川浩司17世名人が名乗っています。
過去には中原誠先生や大山康晴先生も名乗っていました。
永世称号の中で一番価値の高い永世称号は、永世名人もしくは永世竜王です。
この両方を持っている羽生善治九段が、どのような対応をするかは注目されています。
他の棋士は永世称号を持っていても一つあるいは二つですので
・森内俊之九段は60歳から18世名人
・佐藤康光九段も60歳から永世棋聖
・渡辺明九段は60歳から永世竜王(永世棋王も所持してますが永世竜王の方が価値が高い)
を名乗ると想像出来ます。
でも羽生善治九段が19世名人、あるいは永世竜王のどちらを名乗るかは今のところ未定です。
名人と竜王は他のタイトルよりも格が上ですので、それらの永世称号があればどちらかを名乗るんですけど、どちらが上かを明確に定義していないので、どちらを名乗るかはわかりません。
ただし、これらは基本的には引退後に名乗ることなので将棋連盟からの推薦があり本人の承諾があって命名することなので60歳になっても名乗るか名乗らないかは本人次第となります。
今回、藤井棋聖が永世棋聖を取りましたが永世棋聖は序列的に最下位の永世タイトルなので、他に永世タイトルを取った場合には他のタイトルを名乗ることになると思います。
永世棋聖を将来名乗るかどうかはわかりません。
次の王位戦でも永世王位を取るチャンスがありますし、将来的に永世名人や永世竜王を取る可能性も大きいのでこれらの称号を名乗ることで永世棋聖は名乗らないということになりそうです。
将棋の永世称号の条件
引用元 : @anekouzi459のxより
タイトルを獲得することも守り続けることも、非常に大変なんですよね。
将棋の8大タイトルについて、永世称号の条件がこちらです。
①永世名人 名人位を通算五期
②永世竜王 竜王位を連続五期又は通算七期
③永世王位 王位を連続五期又は通算十期
④永世叡王 叡王位を通算五期
⑤名誉王座 王座位を連続五期又は通算十期
⑥永世棋王 棋王位を連続五期
⑦永世王将 王将位を通算十期
⑧永世棋聖 棋聖位を通算五期
それぞれのタイトルの特徴と永世称号を得られる条件は、どのようになっているのでしょうか。
いずれのタイトル戦も挑戦権を得るための予選があり、本戦でタイトル保持者と対戦します。
勝者が1年間、タイトルを保持できます。
特徴があるのは予選で、タイトル戦ごとにさまざまな形式で予選を行います。
順番に見ていきたいと思います。
名人(めいじん)
名人戦の主催は、朝日新聞社と毎日新聞社です。
1年間かけて行われる順位戦のトップリーグであるA級順位戦で優勝すれば、挑戦権を獲得できます。
つまり1年ずつ徐々にクラスを上げていかなければ挑戦権を得ることもできないのが名人戦ということ。
本戦では持ち時間9時間の7番勝負を行います。
永世名人はかつて世襲制でしたが、実力制になってからの条件は、通算5期のタイトル保持。
木村義雄氏、大山康晴氏、中原誠氏、谷川浩司氏、森内俊之氏、羽生善治氏が取得しています。
竜王(りゅうおう)
竜王戦の主催は読売新聞社です。
まずはランキング戦と呼ばれるクラス別トーナメントを行い、各クラスの成績優秀者11名で挑戦者決定トーナメントを行った上で、優勝者がその年の挑戦者となります。
このトーナメントを勝ち抜くことが大変なんです。
本戦では持ち時間8時間の7番勝負を行います。
永世竜王の条件は、連続5期または通算7期のタイトル保持。
渡辺明氏と羽生善治氏が取得しています。
王位(おうい)
王位戦の主催は新聞三社連合です。
まずは予選を戦い、予選の勝者と前期からの勝ち残りの棋士で紅白2組に分かれた挑戦者決定リーグが行われます。
そして紅白それぞれの優勝者同士で挑戦者決定戦を開催。
勝者は本戦で持ち時間8時間の7番勝負を行います。
永世王位の条件は、連続5期または通算10期のタイトル保持。
大山康晴氏、中原誠氏、羽生善治氏が取得しています。
叡王(えいおう)
叡王戦の主催は株式会社不二家で、おやつもよく話題になりますよね。
2017年に昇格した最も新しいタイトル戦です。
叡王戦では、まず棋士が4段~9段の段位別予選に出場し、段位別予選を勝ち抜いた棋士が本戦トーナメントに進み、その優勝者が挑戦者となります。
この段位別予選は持ち時間1時間で、スピーディーな展開が見どころ。
本戦では持ち時間4時間の5番勝負を行います。
叡王戦は永世称号の規定がなく、取得者はいません。
王座(おうざ)
王座だけは名誉王座という称号で呼ばれています。
これは囲碁にも王座戦があり、こちらの永世称号規定で先に名誉王座としたことからそのようになりました。
王座戦の主催は日本経済新聞社です。
予選はすべてトーナメント戦で、1次予選、2次予選、挑戦者決定トーナメントを経て挑戦者が決定します。
本戦では持ち時間5時間の5番勝負を行います。
連続5期または通算10期のタイトル保持が条件で、中原誠氏、羽生善治氏が取得しています。
棋王(きおう)
この永世称号の中でもっとも難しいのはこの永世棋王です。
連続五期でしか永世称号が与えられません。
連続四期までを何回達成しても、五期以外は永世称号は与えられないんです。
棋王戦の主催は共同通信社です。
まずは予選が行われた後、予選の勝者とシード棋士で挑戦者決定トーナメントが行われ、挑戦者が決定します。
本戦では持ち時間4時間の5番勝負を行います。
永世棋王の条件は、連続5期のタイトル保持。
羽生善治氏と渡辺明氏が取得しています。
王将(おうしょう)
永世王将の条件は大変で、通算10回だけです。
王将戦の主催は毎日新聞社とスポーツニッポン新聞社です。
まず、トーナメントによる1次予選と2次予選が行われます。
2次予選を勝ち抜いた棋士と前期からの残留者の7名で挑戦者決定リーグを行い、1位になった棋士が挑戦権を獲得します。
この挑戦者決定リーグは将棋界の中でも非常にレベルが高いリーグとして有名です。
本戦では持ち時間8時間の7番勝負を行います。
大山康晴氏と羽生善治氏が取得しています。
棋聖(きせい)
棋聖戦の主催は産経新聞社です。
かつては序列3位のタイトルでしたが、契約金の引き下げなどで序列が降格しました。
2009年に序列6位、2015年からは序列8位になっています。
棋聖戦の予選はすべてトーナメント戦で、1次予選、2次予選、決勝トーナメントを勝ち進んだ棋士が挑戦権を獲得し、本戦では持ち時間4時間の5番勝負を行います。
永世棋聖の条件は、通算5期のタイトル保持。
大山康晴氏、中原誠氏、米長邦雄氏、羽生善治氏、佐藤康光氏が取得しています。
将棋の棋士の呼び方
棋士の呼び方には明確な優先順位があり、それによって決まっています。
以下の順になります。
②竜王と名人以外のタイトル(序列順)
③永世称号
④段位
まず竜王と名人は別格という事を覚えておいてください。
多くのタイトルを保持して5冠などになっていても、竜王か名人を持っていたら、優先して〇〇竜王や〇〇名人と呼び、〇〇5冠とは呼びません。
竜王と名人の両方を持っている場合は、〇〇竜王・名人と並べて呼ぶことになります。
そして他のタイトルを複数持っている場合は、〇〇2冠、〇〇3冠と呼びます。
〇〇王位・叡王・棋聖などと称号を並べて呼ぶこともできますが、その場合は序列順に呼ぶことになります。
ただし、タイトルの防衛戦を行なっている期間や、そのタイトルについて取材を受けるときに限っては、タイトルの称号で呼ぶことになります。
例えば、竜王と棋聖を持っている棋士が棋聖のタイトル戦を行うときは〇〇棋聖と呼びます。
藤井聡太さんの最年少永世称号獲得は、将棋史にどのような足跡を残していくのか本当に楽しみです。
今後の活躍を見守りたいですね。