最近、インターネットやSNS上で「南海トラフ地震は人工的に引き起こされる可能性がある」という噂が広まっています。
この人工地震説に不安を感じている人も多いのではないでしょうか。
しかし、こうした主張には科学的な根拠が乏しく、専門家の間では否定的な見解が一般的です。
今回は南海トラフ地震の基本的なメカニズムを解説し、人工地震説の真相について検証します。
デマに惑わされず、正しい情報をもとに冷静な判断をしてほしいと思います。
南海トラフ地震の発生メカニズムを解説
引用 : 大阪管区気象台
南海トラフ地震は、フィリピン海プレートとユーラシアプレートが接する海底の溝、南海トラフで発生する巨大地震を指します。
歴史的に東海地域と南海地域で同時、または数時間から数日の時間差で発生したことがあり、その震源域の広がり方には多様なパターンがあります。
この地震の規模は、マグニチュード8から9クラスに達し、過去の事例からも非常に大きな被害が予想されています。
地震学者たちは、今後30年以内に70%から80%の確率で南海トラフ地震が発生すると予測しており、その備えが急務となっています。
人工地震とは？
『人工地震』という言葉は、大きく分けて2つの意味で使われます。
1.人間の活動によって誘発される地震
これは、ダム建設、鉱物資源の採掘、地熱発電など、大規模な土木工事や地下の開発によって引き起こされる地震を指します。これらの活動によって地盤にかかる力が変化し、断層がずれることで地震が発生することがあります。誘発地震と呼ばれることもあります。
- 例: ダム湖への水の貯留による地震、シェールガス採掘に伴う地震など。
2. 意図的に人工的に発生させる地震
陰謀論などで語られる、爆薬や特殊な装置を使用して意図的に地震を起こすというものです。しかし、現在の科学技術では、巨大地震を起こせるほどのエネルギーを人工的に発生させることは不可能とされています。
地球上でも、月面調査でも、地質調査を行う際に人工地震は利用されています。
バイブロサイス車という地面を揺らす車を使って人工的に地震を起こし、揺れの伝わり方から地下の構造を調べる「人工地震探査」という調査手法もあります。
こちらが地震を人工的に起こす『バイブロサイス車』です。
引用 : NHK
巨大地震や災害が起こると、「人工地震だ」という陰謀論がネット上で広まることがあります。
しかし、これらの主張には科学的な根拠がなく、情報源も不明確な場合がほとんどなんです。
地震は自然現象であり、そのメカニズムはプレートテクトニクス理論によって説明されます。
人工的な活動によって誘発される地震はありますが、巨大地震を意図的に起こすことは現在の技術では不可能です。
デマや陰謀論に惑わされることなく、正しい情報に基づいて防災意識を高めることが重要です。
南海トラフ地震は人工地震なのか？
引用 : NHK
そもそも南海トラフ地震と人工地震は別物なんですよ。
人工地震は、爆薬や機械的な振動によって発生させるもので、自然地震とは発生メカニズムや波形の特徴が大きく異なります。
ちなみに北朝鮮が地下で核実験を行った時、地上では震度4程度の揺れしか観測されていませんでした。
南海トラフ地震はM7、8というほどの巨大なもの。
これだけの大規模な地震を起こそうとなったら、相当の燃料が必要になるんですよね。
ですから自然に発生した地震と人工地震は簡単に見分けがつくため、人工地震であればどこからなのか、誰がやったのかまで簡単に特定できてしまうんですよ。
人工地震はありますが、南海トラフのような広範囲の地震を起こすことは不可能です。
大規模な地震を起こそうとなったら、一体どれだけのエネルギーが必要になるのやら…
人工地震説を支持する人々の中には、政府や特定の組織が秘密裏に地震を起こし、人々をコントロールしようとしていると考える人もいます。
とんでもない陰謀論がタイムラインに流れてくることよりも、お前こういうの好きやろと機械に思われてるのが、めちゃくちゃ嫌wwwww
さぁ今日は南海トラフ、人工地震😇
— ポテニキ (@nissy24y_240812) August 14, 2024
これらの主張は、たびたび過去の災害や地震と結びつけられ、陰謀論として発展しています。
しかし、科学的に見れば、地震を人工的に発生させることは非常に困難であり、現実的ではありません。
南海トラフ地震が人工地震ではない理由
結論から言いますと、南海トラフ巨大地震は人工地震ではありません。
人工地震は理論上可能であっも、現実的には不可能だからです。
南海トラフ地震が人工地震でない理由は、科学的な観点から明確です。
- 震源の深さ: 南海トラフ地震の震源は非常に深い場所にあります。例えば、最近の地震の震源は深さ約40キロメートルでした。この深さは人間の技術では到達不可能な場所です。
- プレートの動き: 南海トラフ地震は、フィリピン海プレートとユーラシアプレートが接する海底で発生します。これらの巨大なプレートの動きを人工的に制御することは不可能です。
- 規模の大きさ: 南海トラフ地震のような巨大地震のエネルギーは膨大で、人工的に生成することは現在の技術では不可能です。
- 周期性: 南海トラフ地震は、約30年間隔で繰り返し発生しています。この自然な周期性は、人工的に制御できるものではありません。
まず、地震は地球内部のプレートが長期間にわたって蓄積したエネルギーを解放する自然現象であり、このプロセスは人為的に操作できるものではありません。
例えば、核実験や地下爆破が地震を引き起こすことができると考える人もいますが、これらの人為的な爆発では、プレート全体に影響を与えるような規模のエネルギーを放出することは不可能なんです。
そして、多くの地震学者や専門機関は、人工地震説を完全に否定しています。
彼らは、地震の予知や人工的な発生が現代の技術では達成不可能であることを強調しています。
地震のメカニズムは非常に複雑で、自然界で起こる大規模なプレート運動を模倣する技術は存在しません。
南海トラフ地震が発生する確率が高いという予測は、過去のデータやプレートの動きに基づくものであり、決して人工的な操作によるものではありません。
デマ情報が広がるのはなぜか？
では、なぜ「南海トラフ地震は人工地震である」というデマが広がるのでしょうか？
その背景には、災害に対する恐怖心や不安があります。
人々は災害の予兆や対策に関する情報を求めるあまり、信頼性の低い情報にも敏感に反応してしまうことがあるんですよね。
このような状況で、根拠のない情報がSNSを通じて瞬時に広まり、デマが事実のように受け取られることがあります。
特にSNSの拡散力は非常に強力で、数時間で何万人もの人々に情報が届いてしまいます。
その情報が正確でない場合、誤解や混乱を引き起こすリスクも高まります。
デマが広がることで、本来必要な防災対策や準備が後回しにされる可能性があるため、情報の真偽を見極める力が求められます。
