2026年3月、ホルムズ海峡の事実上封鎖が始まってから約3週間。

テレビではガソリン価格やWBCの話題ばかりが流れていますが、その陰でもっと深刻な危機が静かに進行しているのをご存じでしょうか。

ナフサという聞き慣れない物質が届かなくなることで、病院の機能そのものが止まりかねない事態が迫っています。

  • 点滴バッグが作れない
  • 注射器が足りない
  • 手術用手袋がなくなる

これはSNSの煽りでも陰謀論でもなく、すでに化学メーカーが減産を始め、一部の医療製品に発送遅れが出ている「現在進行形の事実」。

3月19日のTBS報道では、現役の内科外科クリニック院長が「手術ができなくなる。緊急処置ができなくなる」と警告しました。

ところが、大手メディアの扱いはまだまだ小さく、多くの人がこの危機に気づいていません

SNSでも現役医師たちが必死に発信しているのに、テレビのニュースは「冷静に」「直ちに影響なし」の繰り返し。

コロナのマスク騒動のとき、政府が「大丈夫」と言い続けて気づいたら棚が空だった、あの展開を思い出さずにはいられません。

この記事では、ナフサ不足がなぜ医療崩壊につながるのか、いつ頃から本格的にヤバくなるのか、そして今のうちに家族を守るために買っておくべきもの・やっておくべきことを、できる限り具体的にまとめます。

「知っていたから間に合った」と言えるかどうかは、ここ数週間の行動にかかっているのかもしれません。

そもそもナフサとは何か?なぜ病院が止まるのか

まず「ナフサ」という言葉を聞いたことがない方のために、できるだけ噛み砕いて説明させてください。

ナフサとは、原油を精製するときにできる液体の一種で、いわばガソリンの「兄弟」のような存在。

このナフサを高温で分解すると「エチレン」という化学物質が取り出せます。

エチレンからはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)といったプラスチックの原料が作られ、ここから先が問題の核心。

実は、現代の医療で使われる使い捨て製品のほぼ100%が、これらのプラスチックでできているんです。

点滴バッグ、輸液チューブ、注射器、手術用手袋、人工透析の回路、カテーテル、血液バッグ、酸素マスク、人工呼吸器のチューブ。

20年前と比べると、体の中に入る繊細な部分にプラスチックが使われる割合は圧倒的に増えました。

TBSの取材に応じた伊藤博道院長(王子神谷内科外科クリニック)の言葉が、事態の深刻さを物語っています。

「点滴のパックや注射針、手袋…手術ができなくなる。緊急処置ができなくなる。酸素投与も難しくなる」。

コロナのときのマスク不足は「縫製工場が追いつかない」という製造能力の問題でした。

でも今回は次元が違う。

原料の「分子」そのものが届かないという、もっと根本的な詰みが起きようとしています。

どれだけお金を積んでも、ナフサがなければエチレンは作れず、エチレンがなければ点滴バッグも注射器も生産できない。

Xで拡散されたDr.パパ氏(@DrKarte)の投稿がまさにこの本質を突いていて、320万回以上表示されています。

「石油化学が止まると、病院が止まる」。

たった一行で、この危機のすべてを言い表しているのではないでしょうか。

ホルムズ海峡で今何が起きているのか

ではなぜ、ナフサが届かなくなっているのか。

すべての始まりは、2月末の米国・イスラエルによるイラン攻撃。

これに対してイラン革命防衛隊がホルムズ海峡の事実上封鎖に踏み切りました。

機雷の敷設、船舶への攻撃警告、無人艇やドローンによる威嚇。

通常なら1日120隻が行き交うこの海峡を、3月6日時点でわずか5隻程度しか通過できていません。

ペルシャ湾内に閉じ込められたコンテナ船は132〜138隻、約47万TEUにのぼるとも報じられています。

3月12日には、イラン新最高指導者モジタバ・ハメネイ師が「封鎖継続を徹底抗戦の手段として使う」と声明を発表。

米軍は3月13〜14日にイラン機雷敷設船16隻を破壊したものの、完全な通航再開には程遠い状態が続いています。

トランプ大統領は3月14日に日本を含む各国へ艦艇派遣を要請しましたが、高市首相は「自衛隊派遣は想定できず」と国会で答弁。

3月19日には日本を含む6カ国共同声明(英・仏・独・伊・蘭・日)が出され、イランの封鎖・商船攻撃を「最も強い言葉で非難」するとともに、エネルギー市場安定化への協力が表明されました。

しかし具体的な船舶護衛の開始時期は未定で、日本は外交的にも身動きが取りにくい状況。

そしてここが肝心なのですが、日本が輸入するナフサの7割以上が中東産で、そのほとんどがホルムズ海峡経由

原油の国家備蓄は254日分ありますが、ナフサの国家備蓄は事実上ゼロ

民間の在庫も業界推定で約20日分しかありません。

原油は半年以上もつのに、ナフサは3週間で底が見える。

この非対称さこそが、今の危機の根っこにある構造的な問題なのです。

止まる医療行為の具体的なリスト

「病院が止まる」と言われても、具体的に何がどう止まるのかイメージしにくいかもしれません。

ここでは、エチレン不足で製造できなくなる医療資材と、それが止まったときに何が起きるかを整理しておきます。

まず点滴バッグ・輸液セット

PE/PP製で、ICU、がん化学療法、脱水治療、手術の基盤そのもの。

入院患者1人につき1日数十個使うレベルの消耗品で、代替はガラス瓶しかありませんが、割れやすさ・重さ・滅菌の難しさから実用的とは言えません。

次に注射器(シリンジ)と針カバー

PP製で、採血、薬の投与、ワクチン、インスリン注射、歯科の麻酔まで幅広く使われています。

NTVの3月19日報道では、すでに「一部医療製品に発送の遅れ」が確認されており、歯科用の局所麻酔薬にも影響が出始めているとのこと。

そして医療用手袋

手術、検査、介護のあらゆる場面で感染防止の最前線を担っている必需品。

これが不足すれば院内感染リスクが一気に跳ね上がります。

最も深刻なのが人工透析の回路・透析膜・チューブ

日本には約34万人の透析患者がいて、週3回、1回4〜5時間の透析を受けています。

使い捨ての回路が止まれば、高カリウム血症や心不全で命に直結。

しかも多くの病院はSPD方式(使った分だけ即補充するジャストインタイム方式)を採用しているため、在庫は数日〜1週間分しかないのが実態です。

さらにEOガス滅菌

エチレンオキサイドガスはその名の通りエチレン由来で、熱に弱い内視鏡やカテーテル、心臓ペースメーカー、人工関節の滅菌に欠かせません。

これが止まると、手術室そのものが機能停止に追い込まれます。

このほかにも、血液バッグ、輸血セット、酸素マスク、人工呼吸器チューブ、検査キット容器、薬剤パッケージフィルム、湿布の基材、製薬工場の無菌製造バッグまで、医療のあらゆる工程にエチレン由来のプラスチックが使われています。

ある製薬工場勤務の薬剤師はXで「シングルユースのバッグやチューブはほぼポリオレフィン系。無菌製剤の製造に直撃する」と投稿し、大きな反響を呼びました。

危機はいつ本格化するのか?タイムラインを整理

「で、結局いつからヤバいの?」という疑問に、現時点でわかっている情報をもとに答えておきます。

今〜3月末は「予兆フェーズ」

物理的な完全欠品はまだ起きていませんが、化学メーカーの予防的減産が始まり、納期遅延がじわじわ広がっている段階です。

歯科用の麻酔容器や一部検査キットで最初の遅れが出始めており、石油化学工業協会は3月17日の声明で「製品在庫2ヶ月、ポリエチレン・ポリプロピレンは3.5〜4ヶ月」と発表しました。

「直ちに供給困難なし」としつつも、「ペルシャ湾船舶の安全回復を強く求める」と、業界自身が先行きに危機感を示す異例の声明。

4月は「在庫限界フェーズ」

信越化学が塩化ビニール樹脂の4月1日出荷分から+30円/kgの値上げを発表しており、これが医療用PVC製品にも波及するのは確実。

EOガスの供給制限も始まる見通しで、手術用の滅菌工程がボトルネックになり始めるでしょう。

5月の定期整備以降が「本格危機フェーズ」

三菱ケミカル鹿島、出光興産千葉・徳山、三井化学千葉・大阪、旭化成水島など国内主要メーカーが一斉に整備に入るタイミングで、エチレン生産量が30〜50%減少する予測。

点滴バッグ、シリンジ、手袋、透析回路の生産が大幅に落ち込む可能性が高い。

夏以降(6〜8月)は最悪の場合、「選別診療」が始まるかもしれません

手術の制限、透析回数の削減、救急のトリアージ(優先順位づけ)。

noteの分析記事では「超過死亡の増加可能性」まで言及されており、Bloombergは「ナフサ不足は炭鉱のカナリアだ」と日本の供給網崩壊リスクを指摘しています。

もちろん楽観的な要素もゼロではありません。

米軍による一部通航再開の兆しや、6カ国共同声明による国際圧力の強化など、情勢が好転する余地は残っています。

ただ、イラン新指導者の「封鎖継続」声明を見る限り、早期解決は難しいと考えておいた方が安全でしょう。

テレビが伝えない「補助金と便乗値上げ」の裏側

ここで少し視野を広げて、この危機の周辺で起きている「もう一つの問題」にも触れておきたいと思います。

ガソリン価格は3月9日の全国平均161.8円から、卸値引き上げで一気に20〜30円跳ね上がりました。

都内では167円が197円になったスタンドもあり、Xでは「便乗値上げだろ」という投稿が殺到。

ひろゆき氏のポスト「現状のガソリン値上げは、便乗値上げじゃないの?」は8万いいねを超える大反響でした。

ある関係者の内部告発とされる投稿には「仕入れ変わってないのに1日30万利益増」という生々しい証言も。

高市首相は「170円程度に抑える」として激変緩和措置の復活を表明し、3月19日出荷分から適用されています。

民間備蓄15日分と国家備蓄1ヶ月分を合わせて過去最多の8000万バレルを放出する決定も下されました。

ただ、みずほリサーチの試算では4月以降月に2300〜2500億円が必要で、基金残高2800億円では1ヶ月強で底をつく計算。

そこから先は一般会計、つまり税金で補填するしかありません。

結局のところ、企業が先取りで値上げした分を、国民の税金で穴埋めする構造は過去のガソリン補助金8兆円と同じ。

「どうせ政府が補填する」という安心感が、かえって値上げのハードルを下げてしまう。

名古屋の銭湯が「重油不足で営業時間変更」になった例のように、ガソリン高騰の影響は見えないところで生活のすみずみに広がっています。

便乗値上げとナフサ不足は、根っこでつながっている「同じ危機の表と裏」なのかもしれません。

日用品で本当に品薄になるもの・ならないもの

医療資材の話が続きましたが、日常生活への影響も整理しておきます。

SNSでは「トイレットペーパーがなくなる」「ペットボトルが消える」といった投稿も飛び交っていますが、実はこの辺りは冷静に見る必要があります。

トイレットペーパー・ティッシュは原料の約60%が古紙、残りも北米・東南アジア産パルプが中心で、中東依存はほぼゼロ。

国内生産率もほぼ100%に近く、日本家庭紙工業会が「在庫十分」と明言しています。

ペットボトル飲料も本体のPET樹脂はエチレンとは別系統の原料なので、キャップやラベルへの影響はあっても飲み物自体が消えることはまず考えにくい。

一方で、本当に品薄・値上がりするものはエチレン直撃のジャンルです。

・レジ袋・ゴミ袋(特に45L・30L大型)
・食品用ラップ・サランラップ・保存袋・ジップロック
・弁当容器・惣菜トレー・刺身パック
・シャンプー・洗剤・ボディソープのボトル本体
・紙おむつ・生理用品(包装材部分)
・物流用樹脂パレット・発泡スチロール緩衝材
・自動車バンパー・家電外装プラスチック・PVCパイプ

さらに野菜・卵・パンといった食料品も、包装材と運送費の両方が上がることで10〜30%の値上がりが予測されています。

ナフサ価格はアジア市場で66%上昇(Bloomberg)しており、この影響はこれから本格的に消費者価格に反映されてくるでしょう。

今買うべきもの完全リスト(優先度順)

ここからが本題です。

医療グレードの点滴バッグや透析回路は一般の方が買えるものではありませんが、「病院に行かなくて済む体制づくり」「家庭内の感染防止」「在庫切れ前に確保すべき消耗品」は今すぐ動けます。

Xでは3月18日以降「ポリ手袋の大量購入」投稿が急増しており、ドラッグストアでは手袋・消毒関連が品薄になり始めているとの情報も。

価格高騰前の今が、おそらくラストチャンスです。

最優先は介護用・食品用ポリエチレン手袋

医療用ニトリル手袋の代替として、日常の介護や食事介助、掃除に使えます。

500枚パック(約1,240円)を5〜10箱。

家族4人+高齢者1人で3ヶ月分の目安になります。

次に不織布マスクと消毒関連

マスク本体の不織布は影響小ですが、耳ゴム部分がエチレン由来。

物流コスト上昇で値上がりが始まる前に、50枚入り10箱程度は確保しておきたいところ。

アルコール消毒液500ml×10本、アルコール綿200枚×5パックも併せて。

ジップロック・食品保存袋・ラップはエチレン直撃商品。

食品の保存だけでなく、簡易的な衛生管理にも使える万能アイテムなので、在庫があるうちにまとめ買いしておいて損はありません。

大型ゴミ袋(45L・30L)も忘れずに。

廃棄物管理は感染防止に間接的に関わる重要なポイント。

常備薬・OTC医薬品のキットも準備しておくと安心です。

病院の受診が遅れたときに備えて、解熱鎮痛薬、胃薬、整腸剤、抗ヒスタミン薬、絆創膏、消毒液を一式揃えておくのがおすすめ。

体温計、血圧計、パルスオキシメーター(電池式)も、自宅での体調管理ツールとして心強い味方になってくれるでしょう。

紙おむつ・生理用品は包装材高騰で値上がりが確実なジャンル。

中身自体は紙系素材への切り替えが進んでいますが、3ヶ月分を目安にストックしておけば慌てずに済みます。

全体のコスト目安としては、家族+高齢者1人で1.5〜3万円程度

あくまでローリングストック(古いものから使いながら補充)の考え方で、パニック買い占めにならないよう意識することが大前提です。

「買う」より大事な今すぐやるべき行動

物を買うだけでは足りません。

病院の機能が低下する前に「治療を前倒しにする」「情報を整理する」「家族の連携を作る」ことの方が、実はずっと重要だったりします。

まず歯の治療を今すぐ終わらせてください

これは冗談ではなく、Xでも「歯医者急げ」が一つの合言葉になっています。

歯科用の局所麻酔薬は容器も包装もエチレン由来で、供給制限が長期化する可能性が報じられています。

虫歯、歯周病、親知らず、定期検診。

麻酔が必要な治療があるなら、今週中に予約を入れておいた方がいいでしょう。

次に、持病がある方は定期受診と処方薬のストック確認を。

主治医に「ナフサ不足の影響が心配なので」と相談すれば、2週間分の追加処方に応じてもらえるケースもあります。

病歴、服用薬リスト、血液型、アレルギー情報をA4用紙1枚にまとめて防水ケースに入れておくと、緊急時に役立ちます。

透析患者がご家族にいる方は、特に入念な準備が必要。

近隣の透析施設を3つ以上リストアップし、1施設が止まった場合の転院先を確保しておく。

家族LINEグループで「透析当番表」を作り、送迎と食事管理のローテーションを組んでおくと、いざというとき慌てません。

低カリウム食品(缶詰野菜、りんご・梨の缶詰など)のストックも忘れずに。

そして最後に、「病院に行かなくて済む健康管理」を今日から意識してみてください。

手洗いの徹底、バランスの良い食事、適度な運動、予防接種。

地味に聞こえますが、医療資材が逼迫する中では「そもそも病院のお世話にならない」ことが最大の個人防衛策になります。

Dr.パパ氏の言葉を借りるなら、「私の心配より、備蓄しておきなさい」。

知って、動いて、備える。

それが今、私たちにできる一番現実的な行動なのだと思います。

「知っていた人」だけが家族を守れる

Dr.パパ氏が3月14日に書いた言葉が、ずっと頭に残っています。

「危機を伝えた知人100人超。でもすでに備えていた人はゼロだった」。

認識されていない危機は、対策もされない危機。

テレビのニュースは「冷静に」「直ちに影響なし」を繰り返します。

でも、コロナのときも令和の米騒動のときも、「大丈夫」の裏で着々と棚は空になっていきました。

政府や病院が守ってくれる範囲には限界があります。

厚労省の現時点の見解は「今すぐ影響はないが長期的に注視」。

赤沢経産相は「代替輸入と国内精製で4ヶ月分確保可能」と言いますが、医療グレードの品質と量が本当に足りるのか、専門家の間でも意見は割れている状況。

台湾海峡まで有事が広がれば半導体も止まるリスクがあり、日本の「海の道への依存」はホルムズだけの問題ではありません。

だからこそ、国や病院に頼り切るのではなく、家庭単位で「最小限の備え」をしておくことが大切なのでしょう。

手袋と衛生用品に数千円。

常備薬の見直しに30分。

歯医者の予約に電話1本。

家族で「もし病院が混んだらどうする?」と5分だけ話し合う。

それだけで、いざというときの選択肢がまるで変わってきます。

この記事を読んだことが「あのとき知っておいてよかった」に変わることを、心から願っています。

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