災害時のパニック買いリスト|地震や台風の前に棚から消えるものと慌てない備え方
大きな地震のニュースが流れた翌日、スーパーの水の棚だけがぽっかり空いていた。
そんな光景を、一度は見たことがあるのではないでしょうか。
2024年8月8日、気象庁は初めて「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を出しました。
その翌日から、水や電池の棚が次々に空いていったのを覚えている人も多いと思います。
買いに走った人を責めたいわけではありません。
家族の顔が浮かんだら、誰だって「今のうちに」と思ってしまいますよね。
ただ、災害のたびに同じことがくり返されているのも事実です。
何が棚から消えて、何は本当は足りていたのか。
そして、慌てて買わずに済むようにするには、ふだんから何をしておけばいいのか。
地震・台風・大雨の前後に役立つ形で、順番に見ていきましょう。
災害の前後に棚から消えるもの
まずは、実際に何が買われたのかを見てみます。
2024年8月の臨時情報のあと、家計簿アプリZaimの記録をまとめた記事が出ていて、そこに品目ごとの動きが載っていました。
- いちばん早く買われたのは水
- 電池・電球は、8月9日と10日に7月の平均の6倍以上
- 缶詰・レトルト食品・麺類・ティッシュとトイレットペーパーも2倍以上
- 米は急には増えず、三連休にかけてじわじわ伸びて約2倍
調べられていたのは、被害が想定されている地域の家計簿です。
全国で見ても、8月10日の支出は7月の平均の1.5倍ほどに増えていたのだとか。
政府としての呼びかけは8月15日の夕方に終わりましたが、そのころには水と電池の棚がいちばん先に空いていたことになります。
この並びは、2011年の東日本大震災のときとよく似ています。
あのときは被災地から離れた首都圏でも、乾電池やカップ麺、トイレットペーパーが店から消えました。
とくに懐中電灯に使う単1形と単2形の乾電池は、ふだんの3.5〜4倍ほど売れたと伝えられています。
停電が怖い、水が止まるかもしれない、しばらく買い物に行けないかもしれない。
買われるものは、どれも「止まったら困る暮らしの線」につながっているんですね。
台風の前も同じです。
台風の接近が伝えられた沖縄のスーパーでは、すぐに食べられるパンやカップ麺の棚に空きが目立ち、店員が補充に追われたと地元紙が伝えています。
地震は前ぶれなく来ますが、台風や大雨は数日前から進路が見えるぶん、みんなが同じ日に同じ店へ向かってしまうのです。
足りているのに棚が空になるのはなぜ?
ここで1つ、覚えておきたいことがあります。
棚が空いたからといって、国じゅうで品物が足りなくなったとは限りません。
わかりやすいのが、2020年のトイレットペーパーです。
「マスクと同じ原料だから、次は紙がなくなる」という話がSNSで広まり、全国の店から一気に消えました。
このとき日本家庭紙工業会は、2月28日に「供給力も在庫も十分にある」とする声明を出しています。
トイレットペーパーはほとんどが国内の工場で作られていて、原料も再生紙やパルプなのでマスクとは別物、という説明でした。
それでも、しばらく棚は空のままでした。
つまり品薄の正体は、工場の在庫ではなくお店の棚とトラックの量なんです。
ここに「空っぽの棚の写真」がSNSで流れると、見た人がまた買いに走ります。
買えなかった人が、次の店でいつもより多めにかごへ入れる。
そうやって棚が空く時間が長くなっていきます。
そして本当に困るのは、その日にどうしても必要な人です。
赤ちゃんのミルクを作る水、持病で手放せない電池式の機器、介護で欠かせない消耗品。
パニック買いでいちばん困るのは、買い占めた人ではなく、その日に買えなかった人なのかもしれません。
本当に備えておきたいものリスト
では、慌てて買わずに済むように、ふだんから何を置いておけばいいのか。
首相官邸の「災害に対するご家庭での備え」では、飲み水を1人1日3リットル、3日分が目安とされています。
大きな災害に備えるなら1週間分が望ましい、とも。
家族4人で3日分なら、飲み水だけで36リットル(2リットルのペットボトル18本)になります。
トイレを流すなどの生活用水は、これとは別に必要です。
思ったより多い、と感じた人もいるかもしれません。
だからこそ、ニュースを見てから集めるのではなく、少しずつ置いておくほうが楽なんですね。
官邸のページでは、水道水をポリタンクにためておく、お風呂に水を張っておく、といった生活用水の確保のしかたも紹介されています。
水は、ふだん飲むものを多めに買って回していく形でも構いません。
置きっぱなしにしたいなら、保存期間の長いタイプが向いています。
アイリスオーヤマ 保存水 2L×6本(製造から5年)
主食は、お湯か水を注ぐだけで食べられるアルファ米があると心強いです。
お湯なら15分ほど、水でも1時間ほどで戻るので、停電していても食べられます。
尾西食品 アルファ米12種類セット(非常食・保存食)
電気やガスが止まったときに温かいものを作るなら、カセットコンロとボンベです。
ボンベは古くなると中のパッキンが傷むことがあり、国民生活センターは製造からおよそ7年を使う目安としています。
しまい込まずに、鍋の日に使って買い足すくらいがちょうどいいですね。
イワタニ カセットガス オレンジ 3本組 CB-250-OR
停電の夜に頼りになる懐中電灯やラジオは、電池がなければただの箱になります。
家にある機器が単3なのか単1なのかを確かめて、その形の電池をそろえておきましょう。
パナソニック エボルタネオ 単3形アルカリ乾電池 12本パック LR6NJ/12SW
トイレットペーパーは、ふつうの長さのものを大量に積むより、長巻きタイプにすると場所を取りません。
1ロールが長いぶん、同じ収納でも長くもちます。
スコッティ フラワーパック 3倍長持ち トイレットペーパー 4ロール 75mダブル
断水するとトイレが流せなくなるので、携帯トイレも一緒に考えておくと安心です。
防災の備えでなぜ携帯トイレを外せないのかは、こちらにまとめています。
持病の薬や常備薬も、棚が空いてから慌てても間に合わないものの1つです。
お薬手帳の持ち方や、何日分の薬を手元に置くかの考え方は、別の記事で整理しました。
買い占めないための備え方
備えておくのは大事、でも買い占めはしたくない。
この2つを両立させるいちばんの方法が、農林水産省も勧めている「ローリングストック」です。
ふだん食べているものを少し多めに買っておき、食べたぶんだけ買い足していくやり方のこと。
ポイントは、ニュースが出る前の、何もない日に少しずつ増やしていくこと。
いつもの買い物で、水を1本、レトルトを1つ、電池を1パック足すだけでも、1か月たつとそれなりの量になります。
何もない日に買うぶんには、誰の分も取りません。
そして臨時情報や台風の予報が出た日には、もう慌てて店へ行かなくて済みます。
家族に赤ちゃんやお年寄り、食物アレルギーのある人がいる家は、もう少し長めに見ておきたいところです。
農林水産省は、乳幼児や高齢者、慢性の病気や食物アレルギーがある人向けの「要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド」を出していて、2026年9月に内容が新しくなりました。
ミルクやおかゆ、アレルギーに対応した食品は、災害のあとほど手に入りにくくなるもの。
家族に合う備えを考えるときの、いい手がかりになるはずです。
最後に、ニュースを見た日の動き方も決めておくと落ち着けます。
- 家にある水・食べもの・電池の量をまず数える
- 足りないものだけを、いつもの量で買う
- 空っぽの棚の写真は、広める前に一呼吸おく
棚が空いているのを見ると、どうしても胸がざわざわしますよね。
でも家の中に何日分あるのかが分かっていれば、その写真を見ても「うちは大丈夫」と思えます。
次に大きなニュースが流れた日、スーパーへ走らずにお茶を一杯飲める家が、1軒でも増えていたらいいなと思います。




