2025年6月3日、プロ野球界の「ミスター」こと長嶋茂雄さんが89歳で逝去しました。
その訃報とともに注目が集まっているのが、長男・一茂さんと次女・三奈さんによる「遺産相続をめぐる関係」です。
特に話題になっているのは、一茂さんが過去に「父の遺産は放棄する」と公言していたこと。
それは、兄妹間の確執の表れなのか、それとも静かな“家族のけじめ”だったのか――。
田園調布の豪邸、「長嶋茂雄」ブランドに関する商標・肖像権、数々の貴重な記念品。
こうした資産のゆくえと、きょうだいたちの距離感は、いま私たちに「家族とは何か?」という問いを投げかけています。
長嶋一茂が遺産放棄
「遺産、僕は放棄してますから」
そんな言葉を、長嶋一茂さんがテレビで口にしたことがあります。
これは2018年の『ワイドナショー』や2021年の『週刊文春』インタビューで語られており、本人も明確な意志として表明しています。
2025年6月3日、父であり“ミスタープロ野球”の名をほしいままにした長嶋茂雄さんが、肺炎のため89歳で亡くなりました。
その訃報が伝えられると同時に、ネット上では
「遺産は誰に?」
「兄妹で揉めるのか?」
といった声が多く聞かれました。
中でも注目されたのが、一茂さんの“遺産放棄”という過去の発言です。
長嶋家の遺産といえば、資産価値が約6億円とされる田園調布の豪邸や、「長嶋茂雄」ブランドの商標や肖像権、そして数々の貴重な記念品などが挙げられます。
しかし、それらを「受け取らない」と明言した一茂さんの選択は、決して軽いものではありません。
なぜ彼はそこまでの決断をしたのか?
その理由は、家族関係における深い溝と、自身の人生観にありました。
2008年には、一茂さんの個人事務所が「長嶋茂雄」の商標出願を試み、三奈さん側と対立が生じたとの報道がありました。
翌2009年には、一茂さんが茂雄氏ゆかりの品や亜希子さんの遺品を売却したとされる報道があり、家族間の確執が深まったとされています。
これらの経緯から、長嶋家では一茂さんと三奈さんの関係が冷え込み、父・茂雄さんとの関係も疎遠になったとみられます。
一茂さんは「父とは13年以上会っていない」と語り、家族との関係が疎遠だったことを明かしていました。
ただ、この発言は2022年のものなので、現在で計算すると16年ということになります。
ここで、ひとつのたとえ話をしましょう。
たとえば、実家の旅館を誰かが受け継ぐとき、自分はもうその場所に戻らないと決めて、静かに別の道を歩く兄がいる。
その兄にとっては、実家のことは自分で距離を置く選択をした、過去の存在になる。
それは「嫌いだから」ではなく、「もう違う道を歩いているから」。
一茂さんの放棄発言も、まさにそのような静かな決別のように聞こえます。
さらに、彼は芸能界でのキャリアを築き、タレントとして高い評価を受けています。
長嶋茂雄さんを超えるポテンシャルがあると評価されながら、現役時代あまりにマイペースで天然でやる気がなさすぎてパッとしないまま引退した長嶋一茂。まさかのマイペースっぷりが面白くて芸能界で大成功するとは誰も思わなかっただろうな。 pic.twitter.com/BzZykt6IfJ
— お侍さん (@ZanEngineer) June 3, 2025
2021年のインタビューでは、
「父の名前を背負うことの重さから解放されたい」
「自分の人生を歩みたい」
と語っており、遺産を受け取らず“長嶋家の看板”から距離を置くことは、彼にとって自然な選択だったのでしょう。
もちろん、遺産放棄には法的な手続きが必要であり、被相続人の死後3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。
2025年6月3日、茂雄氏が逝去した今、一茂さんのこれまでの発言から、相続放棄の選択は確固たるものだったと考えられます。
それは単なる金銭的な話ではなく、“家族との関係”と“自分の人生”に対する、ひとつのけじめだったのかもしれません。
一茂はなぜ遺産を放棄したのか
長嶋一茂さんが父・茂雄さんの遺産を「放棄する」と明言したことは、2025年6月3日の訃報を機に改めて注目されています。
この選択の背景には、単なる兄妹間の確執だけでなく、一茂さん自身の「生き方の決断」がにじんでいます。
まず注目されるのは、彼の経済的・精神的な自立です。
プロ野球選手としての経歴を持ち、引退後はタレントやコメンテーターとして活躍。
数々の番組で存在感を発揮し、自らの言葉でメディアに発信する力を持つ人物です。
2021年のインタビューで、「父の名前に縛られず、自分の人生を歩みたい」と語っていました。
この言葉には、“親の看板”に頼るのではなく、自らの力で道を切り開きたいという強い意志が感じられます。
たとえば、老舗の看板を持つ家に育った兄弟がいたとしましょう。
一方はその看板を守り続け、もう一方は「看板から離れて、自分だけの旗を立てたい」と思うことがある。
それは“反発”ではなく、“尊重”と“選択”の問題なのです。
一茂さんの「遺産放棄」という行動も、まさにこの“選択”の延長にあるのかもしれません。
その背景には、過去の家族内の確執もありました。

こうした過去の経緯が、一茂さんにとって「相続に関わること自体が、再び摩擦を生むリスク」と映っていた可能性もあります。
実際、2018年の『ワイドナショー』や2021年の『週刊文春』では、遺産放棄の意向を本人がはっきりと述べています。
「父の財産に興味がない」
「家族のことは自分で決める」
といった発言には、“もう関わらない”という静かな距離感がにじんでいました。
X(旧Twitter)上では、「三奈さんへの配慮」や「家族との距離」といった憶測も見られますが、それらはあくまで推測にとどまります。
また、妹の三奈さんが代表を務める「オフィスエヌ」や、2025年1月に設立された「長嶋茂雄一般財団法人」が、父の肖像権や関連事業を管理しています。
このような状況にあって、一茂さんが「自分が関わる必要はない」と判断したとしても、自然な流れだったのかもしれません。
2025年6月3日、茂雄氏が逝去した今、形式上の相続放棄というより、「自分の道を歩む」という一茂さんの静かな主張といえるでしょう。
家族の形はさまざまです。
そして、距離をとることもまた、ひとつの敬意のかたちなのかもしれません。