「2025年7月5日、何かが起きる」
そんな不穏な予言が、SNSやネットニュースで再び注目を集めています。
発信源はあの“予知夢”で話題になった漫画家・たつき諒。
加えて、6月以降続くトカラ列島の地震が不安を後押しし、検索ワードには“デマなのか本当なのか”と疑う声が並びます。
そもそもこの予言なぜ人々の心を掴んで離さないのか?
そして、トカラ列島の地震と本当に関係があるのか…。
この記事では、根拠・噂・過去の予言との違いを一つひとつ丁寧にたどりながら、今、知っておくべき事実をわかりやすく整理します。

2025年7月5日の予言はデマ?
「2025年7月5日に日本で大災害が起きる――」
そんな不穏な“予言”がSNSを中心に拡散され、X(旧Twitter)でも不安の声が日に日に高まっています。
発端となったのは、女性漫画家・たつき諒が2021年に出版した『私が見た未来 完全版』という著書。
この本の中で、「日本とフィリピンの中間あたりの海底がポコンと破裂し、東日本大震災の3倍の津波が来る」といった衝撃的な夢の内容が記されていました。
さらに、「その災難が起きるのは2025年7月」と明記。
夢を見た日が2021年7月5日だったことから、「2025年7月5日が危ない」とする声が急速に広まっていったのです。
とはいえ、冷静に考えたいところです。
この予言、科学的な根拠は一切ありません。
気象庁は公式に、「日時や場所を特定した地震予知は科学的根拠がなく、デマと考えられる」と明言しています。
つまり、現代の地震学では「●月●日に地震が起きる」と予測することはできないというのが、専門家の一貫した立場なのです。
それでもSNSでは「なんか最近、カラスの行動が変じゃない?」「やたら地震が多くない?」といった声が飛び交っています。
これはいわゆる確証バイアスの典型。
「予言が当たるかも」という前提で周囲の出来事を見てしまうと、いつもならスルーしていたことまで“前兆”に思えてくるのです。
また、たつき諒本人も、予言を断定する意図はなかったようです。
2025年に新たに出版した自伝『天使の遺言』では、「出版社の意向中心で出版されたことに不本意な思いもあった」と語っており、「夢を見た日=何かが起きる日というわけではない」ともコメント。
引用 : アマゾン
あくまで「夢として見た内容」であり、現実に起こると断定するものではないというスタンスです。
この本を実際に読んだ人は、このような投稿をしています。
たつき諒さんの「天使の遺言」を読み偶然はないと確信しました😓
去年の夏に竜舌蘭の花が各地で咲いたそうです
数十年に一度しか咲かない花が咲いたタイミングは偶然ではないのでしょう
しかもたつき諒さんの住む横浜の街にも咲いたそうです
やはり23日から地震が頻発しているのも前兆かもしれません😓 pic.twitter.com/nsKEJxe8kj— 小西幸子❨こにしゆきこ❩ (@koni1958) June 23, 2025
さらに、たつき氏はインタビューや出版社を通じたコメントでも、「予言を信じさせる意図はない」としながら、「防災意識が高まることを望んでいる」と前向きな姿勢を示しています。
実際、この“予言”が話題になったことで、日本だけでなく香港や台湾でも反応がありました。
香港では著名な風水師が同様の予言をしていたことも重なり、訪日旅行を控える人が増加。
2025年5月の訪日観光データでは、香港だけが前年を下回る結果となり、グレーターベイ航空は仙台・徳島路線の夏季便を減便しています。
この予言が直接的な原因かどうかは断定できませんが、社会的な影響が出ているのは確かです。
とはいえ、今のところ「2025年7月5日に何かが起きる」という決定的な兆候や根拠は一切なし。
不安を煽るような噂に飲み込まれず、落ち着いて情報を見極めることが大切です。
私たちにできるのは「当たる・当たらない」に一喜一憂することではなく、日本が地震多発国であることを踏まえ日常的に防災準備を進めることではないでしょうか。
例えば、非常持ち出し袋の見直しや避難ルートの確認、家具の固定や家族との連絡手段の整備など。
“予言”という言葉に踊らされず、冷静に・しっかり備える。
それこそが、今私たちにできる一番リアルで意味のあるアクションなのかもしれません。
トカラ列島の地震と予言の関係
「またトカラ揺れてる…なんか不気味」
「7月5日の予言とリンクしてるんじゃ…?」
最近、X(旧Twitter)などでもこんな不安の声がちらほら。
というのも、2025年6月に入ってから、トカラ列島近海での群発地震が急増中なんです。
6月23日時点で、その数は100回超え。
揺れの回数だけでなく、体に感じるレベルの地震も多く、「これはただ事じゃないのでは?」という空気が出てきています。
引用 : 讀賣新聞オンライン
そしてネット上では、この地震活動を「たつき諒の予言」と結びつける声も。
たしかに、彼女が著書『私が見た未来 完全版』の中で描いた夢には、「日本とフィリピンの中間あたりの海底が破裂し、大津波が発生する」とありました。
地図で見ると、トカラ列島はちょうどその“中間あたり”に位置しているように見える。
これは偶然なのか、それとも…?
そんな不安や疑問が広がるのも無理はありません。
ですが――ここは冷静にいきましょう。
まず第一に、トカラ列島はもともと群発地震が起きやすい地域です。
この地域は、フィリピン海プレートとユーラシアプレートがせめぎ合う、いわば“地球の継ぎ目”。
そのため、年に何度も細かい揺れが続くことは珍しくありません。
実際、2021年4月にも同じように群発地震が発生しています。
そのタイミングは、たつき諒が夢を見たとされる2021年7月の数ヶ月前にあたります。
このことから、一部の専門家は「地震のニュースが本人の記憶に影響し、夢に現れた可能性がある」と指摘。
つまり、予知夢というより“印象的な記憶の反映”だったのでは?という見方です。
また、ネット上で広まっている「トカラの法則」。
これは、「トカラ列島で地震が続くと、その後に日本のどこかで大地震が起こる」という俗説です。
ですがこれは科学的な裏付けは一切ありません。
たしかに、東日本大震災(2011年)や熊本地震(2016年)の前に、トカラ列島で地震が観測されたケースはありますが、専門家はこれを「偶然の一致」であり、直接的な因果関係はないとしています。
さらに、気象庁や地震研究機関は、トカラ列島の群発地震は地質的特徴によるもので、特異な現象ではないと説明しています。
もちろん、「可能性はゼロじゃない」と考える人の気持ちもよくわかります。
でも、だからといって「7月5日に大地震が確定!」と考えるのは、かなり飛躍があります。
むしろ、日本はもともと地震が多い国です。
南海トラフや首都直下型地震など、長期的に見れば「どこでいつ起きてもおかしくない」という前提の国なんですよね。
だからこそ、必要なのは「特定の日を恐れること」ではなく、常日頃からの備えです。
- 水や食料などの備蓄チェック
- 避難所や避難経路の再確認
- 家族との安否確認手段を決めておく
この群発地震を“防災を見直すきっかけ”にするのが、今できる一番現実的な対策かもしれません。
トカラ列島の地震と予言がリンクして見えるのは、確かに不安をかき立てます。
でも、恐怖に飲み込まれず、冷静に行動することで未来は変えられる――そんな視点で向き合っていきたいですね。
たつき諒の予言一覧
そもそも、たつき諒って誰?何者?と思っている方も多いかもしれません。
70歳の女性漫画家で、代表作は『私が見た未来』。
もともとは知る人ぞ知る存在でしたが、2011年の東日本大震災を予言していたとSNSで拡散されたことで一気に話題の人に。
それ以降、「予知夢が当たる人」として信じるファンが増えていったのです。
では、実際にたつき諒が予言したと言われるものにはどんなものがあるのでしょうか?
一部は「的中した」とされ、他はいわゆる“外れた”とされるものもあります。
まずは「当たった」とされる代表例。
1つ目が、フレディ・マーキュリーの死。
フレディ・マーキュリーが72,000人の観客と掛け合いをする様子。後に伝説の動画となる
pic.twitter.com/EQo8ewnCZx— イエス・キリスト (@yeskiri) June 9, 2025
伝説のロックバンド・クイーンのボーカルで、1991年にエイズにより亡くなりました。
たつき氏は1976年や1986年の時点で「外国の大物男性アーティストが亡くなる夢を見た」と話しており、後にこの件と重ねて語られました。
当時のファンからすると「え、これマジで当たってたん?」とちょっとゾワッとする話です。
もう一つが、阪神淡路大震災(1995年1月17日)。
夢の中で「地面が裂ける」「道がグニャグニャに壊れる」というビジョンを見ていたと語っており、これも後から「予知していた」と注目されました。
とはいえ、すべてが“的中”したわけではありません。
外れたとされている予言の中で有名なのが、富士山噴火の予知夢です。
「富士山が噴火する夢を何度か見た」とたつき氏は語っていますが、2025年6月現在、富士山の大規模噴火は発生していません。
もちろん「未来の話だから、まだこれからじゃ…?」という声もありますが、長年にわたり噴火の予言は外れている状態です。
さらに、ネットではなりすましの“たつき諒”による偽予言も出回っています。
特に新型コロナや著名人の死去、はては戦争やUFOに至るまで、
「たつき諒が予言したらしい」
という話が飛び交いましたが、これらの大半は無関係な第三者が勝手に名前を使ったデマ。
たつき氏本人はこれらに一切言及しておらず、「予言を信じさせる意図はない」「防災の意識が高まれば本望」と語っています。
ここでふと気づく人もいるはず。
「じゃあ、2025年7月5日の予言って本当に信じていいの?」
結論としては、現時点ではデマ扱いが妥当です。
たつき諒本人も、「夢を見た日=何かが起きる日ではない」と述べており、明確な日付の指定は、あくまで編集部の聞き書きや、解釈に過ぎない部分も。
しかも、気象庁は「地震予知は不可能」と公式に発表しています。
だから「7月5日に大災害が起きる」と断言することは、科学的には成立しません。
では、トカラ列島の地震は?
確かに2025年6月は群発地震が多発しており、不安になるのも無理はありません。
でも、これもプレート境界にある地質的に揺れやすいエリアであり、特に異常というわけではないのが実情です。
まとめると、
- たつき諒の予言には的中とされるものもあれば、外れた例もある
- SNSで広がる情報のすべてが本人発信とは限らない
そして何より、「2025年7月5日の予言」は科学的には根拠のないデマ。
ただし、日本が地震大国であることは間違いありません。
トカラ列島の地震も含め、「備える理由」は常にある。
だからこそ――
不安に振り回されるよりも情報を見極めて、ちゃんと備える。
それが、“予言”を生かす一番冷静で賢い行動かもしれません。
