「2025年7月5日、午前4時18分に大地震が来る」
そんな噂が、SNSやネット掲示板を中心に拡散され、多くの人の不安を煽っています。
この情報の出どころは、漫画家・たつき諒さんの著書『私が見た未来 完全版』に登場する“予知夢”の内容にありますが、科学的根拠は一切なく本人もすでに「その日は災害ではない」と明確に否定しています。
しかし、こうした話題を「単なるデマ」と片付けてしまうのは早計かもしれません。
なぜなら、不安な予言に触れた今こそ、
本当に安全な避難場所とはどこか?
自分や家族の命を守るために何ができるのか?
ということを考える絶好の機会だからです。
本記事では、「予言の真偽」だけでなく、災害リスクのある地域や安全な避難場所の選び方、家庭でできる防災対策まで、実用的な視点で幅広く解説していきます。
災害が多い日本に暮らす私たちにとって、知っておきたい“現実の備え”を一緒に確認していきましょう。
目次
最も危ない県は?南海トラフと津波リスクの実態
「南海トラフ地震が起きたら、どの地域がもっとも危ないのか?」
この問いに対する答えを、私自身も高知県で暮らす祖父母から何度も聞かされて育ちました。
祖母は「海が揺れたらすぐ山に逃げなさい」と繰り返し言い、家には避難袋と懐中電灯が常備されていました。
小学生の私はそれを“ちょっと大げさ”に感じていたものの、年齢を重ねるにつれてその深刻さが身に染みるようになりました。
政府が発表している南海トラフ巨大地震の被害想定(内閣府・2022年)によると、広範囲で震度6強〜7の揺れが予測されており、津波の高さも地域によっては最大30メートルを超える可能性があるとされています。
以下は、特に大きな被害が予想されている代表的な地域と、その特徴です。
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静岡県:震度6強〜7、津波最大10〜20mの予測。沿岸部では津波と火災の複合被害も懸念。
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高知県:津波浸水(最大30m以上)、液状化現象のリスクが高い。黒潮町などでは津波の第一波が数分で到達するという想定も。
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三重県:沿岸部で津波と大規模火災のリスク。湾の形状により津波が押し寄せやすい地域もある。
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和歌山県:津波と液状化が懸念される。過去の地震でも沿岸部で住宅被害が集中。
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徳島県:津波に加え、山間部では土砂災害のリスクもある複合的な脅威。
これらの地域に共通しているのは、いずれも太平洋に面していること。
沿岸部では津波のリスクが非常に高く、地震発生から数分から十数分以内に津波が到達するケースも想定されています。
1946年に発生した昭和南海地震では、徳島や高知で津波により大きな被害が出ました。
1944年の東南海地震でも、三重県や愛知県で津波や強い揺れによる被害が報告されており、いずれも地震直後の避難行動が生死を分けたとされています。
重要なのは「危険地域を避けること」ではなく、「どこにいても想定をもとに準備しておくこと」です。
特に沿岸部に住んでいる方は、自治体のハザードマップを確認し、高台や指定避難所の位置を家族で共有しておくことが命を守る行動になります。
「7月5日地震説」は本当か?
「2025年7月5日午前4時18分に大地震が起きる」
そんな話を耳にした方も多いのではないでしょうか。
この噂の発端は、漫画家・たつき諒さんの著書『私が見た未来 完全版』に記された“予知夢”の内容が広まったことにあります。
ただし、具体的な日時「7月5日午前4時18分」という情報は、2021年7月5日に彼女が夢を見た時刻とされており、それが「災害が起こる時」と誤って解釈されたものです。
テレビでも報道されたことで認知度は急激にあがり、最近では海外の人たちも旅行を取りやめる事態にまで発展。
そんな中2025年6月中旬、たつき諒さんが自伝『天使の遺言』を自費で出版しました。
引用 : アマゾン
「話題になっている『私が見た未来』は出版社の意向が強く、自分の本意とは少し違っていた」と心境を明かしています。
また、「夢を見た日だからといって、その日に何かが起こるとは限らない」とも述べており、夢の内容が現実の出来事を直接示すものではないという姿勢を一貫して示しています。
実際、たつき諒さんは「7月5日は災害の日ではない」と発信しています。
つまり、“7月5日4時18分”というピンポイントの予測は本人の意図ではなく、誤情報が一人歩きした結果なのです。
こうした話題が注目される背景には、2011年の東日本大震災と、たつき諒さんの過去作の一致が「予言の的中」と一部で捉えられたことも関係しています。
1999年に刊行された原作『私が見た未来』の表紙には「大災害は2011年3月」との記述があり、震災後に再注目を集めたことは事実です。
しかし、こうした現象は“後付けの解釈”とされることが多く、科学的な根拠は一切ありません。
予知や予言が当たるか否かを証明する手法はなく、現在の地震学では地震発生の日時や場所を特定することは不可能とされています。
気象庁の野村竜一長官は、2025年6月13日の記者会見で次のように述べています。
「現在の科学的知見では、地震の発生日時や場所を特定して予知することはできず、SNS等で拡散される情報の多くはデマと考えられます。」
それにもかかわらず、こうした噂に過度に反応してしまうのは、人間が“見えない未来への不安”に対して敏感だからでしょう。
過去の災害でも、混乱の中でさまざまな不確かな情報が飛び交い、不安が拡大したケースがあります。
たとえば、2016年の熊本地震では根拠のない情報がSNSを通じて拡散され、避難行動や生活に影響を与えた事例も報告されています。
だからこそ大切なのは、「信頼できる公式情報に基づいた判断」です。
以下のような情報源は、日常的にチェックしておくと安心につながります。
- 気象庁の地震・津波情報ページ
- 内閣府「防災情報のページ」
- 各自治体のハザードマップや防災アプリ
私もこの噂を初めて見たとき、正直なところ少し怖くなりました。
でも、その後に公式発表や根拠の有無を自分で調べてみることで、不安を整理し、冷静に対応すべきことが見えてきたのです。
避難場所を選ぶ判断ポイント
地震が発生したとき、同じ市内や町内でも被害に大きな差が出ることがあります。
その違いの大きな要因は、「地盤の性質」です。
以前私が住んでいた住宅街は、かつての低湿地を開発したエリアでした。
地震のたびに食器棚の中身が飛び出すほどの揺れを感じ、高台にある知人宅との差を体感したのを今でもよく覚えています。
地盤の強さによって揺れの大きさが変わり、さらに液状化現象のリスクにも影響を与えます。
以下に、避難場所や住まいの安全度を判断するポイントをまとめました。
地盤の種類をチェックしよう
各自治体や防災科研が提供する「地盤サポートマップ」などを使えば、自宅の下の地盤がどのような性質かを知ることができます。
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強い地盤:岩盤、台地(例:東京都の武蔵野台地中央部)
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弱い地盤:埋立地、沖積低地(例:東京湾沿いの埋立地、荒川下流域)
同じ「丘陵地」や「河川沿い」でも、土質や改良の有無により安全度は異なるため、詳細な地域情報の確認が大切です。
液状化リスクにも注意を
液状化とは、地震による揺れで地下水を多く含んだ砂地が泥のように変化し、建物が沈んだり傾いたりする現象です。
2011年の東日本大震災では、東京湾岸や千葉県浦安市などで広範囲に液状化が発生しました。
道路が波打つように変形し、マンホールが地面から突き出すなど、生活インフラが深刻な打撃を受けた地域も少なくありません。
ハザードマップで避難先の地形を確認
避難所を選ぶ際には、自治体が提供している「ハザードマップ」を確認しましょう。
これらの地図では、
- 地震による揺れの強さ
- 津波の浸水範囲
- 液状化のリスク
- 土砂災害の危険区域
などが色分けされ、ひと目で危険度がわかるようになっています。
沿岸部や低地に住んでいる場合は、高台にある公共施設や指定避難所を優先的にチェックしておくと安心です。
私の地域でも、自治体のハザードマップを確認したところ、自宅周辺が液状化のリスクエリアに含まれていることがわかりました。
それをきっかけに、防災備蓄品を再点検し、水や非常食、簡易トイレ、モバイルバッテリーなどを家族で話し合いながら整えました。
避難所の場所やルートも確認し、「どこに逃げるか」を共通認識として持つようになったのです。
災害に強い地域とは?旅行や移住前に知るべきこと
旅行や移住を考える際、「その土地がどれだけ災害に強いか」という視点はとても大切です。
自然災害の多い日本では、場所によって地震や津波、火山噴火のリスクが大きく異なります。
だからこそ、安全性を事前に確認することが、安心できる暮らしへの第一歩になります。
J-SHISで「地震の発生確率」を可視化
防災科学技術研究所が提供する「地震ハザードステーション(J-SHIS)」では、30年以内に震度6弱以上の地震が起きる確率が地域ごとに色分けされた地図で示されています。
たとえば、首都圏や東海地方、南海トラフ沿岸部(例:静岡県・高知県)などは、全国的に見てもリスクの高いエリアとして知られています。
移住を検討している場合は、こうした地図を活用して、候補地の安全度を客観的に判断することが重要です。
観光地も要注意!宿泊先の防災情報は必ず確認
旅行先でも、災害に遭遇するリスクはゼロではありません。
とくに海沿いの地域では津波、火山地帯では噴火のリスクもあります。
たとえば、鹿児島県の桜島や神奈川県の箱根などは活火山が近くにあり、噴火に備えた避難体制が整えられています。
こうした地域を訪れる場合は、事前に火山ハザードマップを確認し、避難場所や非常口をチェックしておくと安心です。
防災アプリでリアルタイム情報を入手
現在では、スマートフォンで災害情報を即時に受け取れる便利なアプリが多数登場しています。
設定した3地域の災害情報が手に入る防災アプリ
ラジオライフ.com – https://t.co/asQ75bZ76E#防災アプリ pic.twitter.com/32gkMCzUl5— ラジオライフ編集部 (@radiolife1980) May 30, 2025
2025年現在、次のような防災アプリが利用可能です。
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気象庁防災情報アプリ:地震・津波・気象警報を通知
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NHKニュース・防災:速報とニュースが一括で確認可能
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東京防災アプリ:東京都発の総合防災ツール(都民以外も利用可)
こうしたアプリをインストールしておけば、災害発生時にその場で必要な情報を得られ、冷静な行動に繋がります。
地震が来る前に知らせてくれるアプリ
NERV防災は最低限の安全確保できるのでおすすめです。#地震 pic.twitter.com/3LhU9oBtoE— チワワのちょことオレオ (@Chihuahua_choko) June 18, 2025
自治体の防災意識をチェック
災害に強い地域かどうかを見極めるもう一つのポイントは、「自治体の防災体制」です。
災害対策に積極的な地域では、
- 定期的な避難訓練の実施
- 防災マニュアルの配布
- 地域掲示板やウェブサイトによる災害情報の発信
- 住民参加型の防災ワークショップ
などが行われており、住民の防災意識も自然と高まっています。
移住候補の自治体ホームページを確認すれば、こうした取り組みの有無を簡単にチェックできます。
安全な土地選びは、人生設計の基盤にも関わる重大なテーマです。
たとえ理想の住環境でも、自然災害に対する備えがなければ、暮らしは一瞬で脅かされてしまいます。
だからこそ、地震や津波のリスクと向き合いながら、「安心して暮らせる場所とは何か?」を一人ひとりが考えることが求められています。
家庭でできる防災対策一覧
「地震は予測できなくても、備えることはできる」
これは私自身、防災について考えるうえで大切にしている考え方です。
突発的に訪れる災害に備えることが、命と生活を守る最大の武器になります。
ここでは、日常の中で誰でも始められる基本的な防災対策を、項目ごとにまとめてご紹介します。
1. 備蓄品の準備と定期チェック
地震や津波などの災害では、ライフラインや物流が停止する可能性があります。
内閣府や気象庁では、1週間分の備蓄を標準として推奨しています。
品目 | 推奨備蓄量・備え方 |
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飲料水 | 1人あたり1日3L × 7日分(家族人数に応じて) |
非常食 | レトルト・缶詰・乾パンなど、加熱・水不要の食料を7日分 |
衛生用品 | トイレットペーパー、簡易トイレ、ウェットティッシュ、生理用品など |
明かり | LEDランタン・懐中電灯(予備電池も) |
情報手段 | モバイルバッテリー、携帯ラジオ、ソーラー充電器など |
備蓄品は「ローリングストック法」で、使いながら補充するのがおすすめ。半年〜1年に1度は内容や消費期限を点検しましょう。
2. 避難場所と避難経路の確認
自宅・職場・通勤先など、よくいる場所からの避難ルートと、最寄りの避難所をあらかじめ確認しておくことが重要です。
地震や津波に備え、自治体が公表しているハザードマップや津波避難経路図をチェックし、安全なルートを事前に把握しましょう。
特に沿岸部では、「どの方向に逃げれば海抜の高い場所へ行けるのか」を知っておくことで、生死を分ける可能性もあります。
3. 家の中の安全対策
地震の直接被害だけでなく、「家具の転倒」や「窓ガラスの飛散」などによる二次被害も深刻です。
- 食器棚や本棚はL字金具などで壁に固定
- ガラス部分には飛散防止フィルムを貼る
- 非常用持ち出し袋は玄関・寝室・車など複数箇所に分散
また、就寝時に懐中電灯と靴を枕元に置いておけば、夜中の揺れでも安全に避難行動を取れます。

4. 安否確認手段を共有する
災害発生時は、携帯電話がつながりにくくなる場合があります。
家族や親しい人とは、以下のような手段を事前に取り決めておきましょう。
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災害用伝言ダイヤル(171):メッセージの録音・再生が可能。毎月1日・15日に試験運用も行われています。
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SNS・LINEグループ:ネット回線が生きていれば連絡手段に
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「災害時の集合場所」や「連絡が取れないときのルール」を紙やクラウドで共有
5. 日頃から「心の備え」を習慣に
準備ができていても、いざというときに冷静に行動できるとは限りません。
だからこそ、日頃から「もし今、災害が起きたら?」という想像とシミュレーションを繰り返すことが、いちばんの備えになります。
- 月に1度の防災点検
- 家族との定期的な避難訓練
- 非常持ち出し袋の内容確認
こうした“小さな習慣”が、非常時に命を守る行動へとつながっていきます。
まとめ
「2025年7月5日4時18分に災害が起きる」とされる噂は、たつき諒さんの著作『私が見た未来 完全版』の夢を見た日(2021年7月5日)が誤解されたものです。
ご本人も2025年6月に「7月5日は災害の日ではない」と公に訂正しており、科学的な根拠も一切ありません。
とはいえ、この話題を「防災を考えるきっかけ」として活かすことはできます。
不安な予言より、備えの実践が命を守ります。
あなた自身と、あなたの大切な人たちの未来のために。
今、この瞬間から“備える力”を育てていきましょう。