霜降り明星の粗品さんが、女性お笑い日本一を決める「THE W 2024」の審査員を務め、YouTubeでノーカットの感想動画を公開しました。
粗品さんは日本テレビとの打ち合わせの段階から、「面白くないものには面白くないと言う」と明言していました。
番組側も「逆にぜひそうしてほしい」と全面的に支持。
お笑いの格を上げたいという熱い思いで、真剣に審査に臨みました。
審査コメントについても「1組につき1分半は喋る」と事前に伝え、具体的にどう良くなるかを教えることを重視。
結果として、他の審査員より多く振られることになりました。
粗品さんの率直すぎる審査コメントと各組への評価をまとめました。
目次
会場の客層への苦言
粗品さんが繰り返し指摘したのが、会場の客の質の問題でした。
「面白いことで笑わず、面白くないことで笑う」という逆転現象が起きていたと批判。
特に問題視したのは
- 拍手の伝染現象(誰かが拍手すると意味なく広がる)
- 本当に受けるべきところで受けない
- 安易な盛り上げに過剰反応
「フロアディレクターがカンペを落とした音を拍手と勘違いして拍手が起きた」というエピソードまで披露し、番組の客教育の問題を指摘しました。
各組への詳細評価
ここからは粗品さんの各組への評価をまとめました。
審査員・粗品さんの全コメント
来年も審査する姿を見たいです#THE_W https://t.co/0d7IfDJS4W pic.twitter.com/BoOnzyTZYb— うにいくら (@uni_ikura_11) December 13, 2025
【もめんと】
評価のポイント
- 木村さんが「利害関係を結びませんか?」と言うまでの前半が長すぎる(3分以上)
- コントは4分なのに、展開が遅すぎてもったいない
- 「好きな人の名前だ」と気づく細かい配慮は良かった
- 芝居の技術はある
改善点
- 前半の無駄なやり取りを削るべき
- 立場の逆転の応酬という定石があるが、それは簡単な手法
- 子供が大人びたことを言うという大喜利はやり尽くされている
- ストーリー以外の脱線したボケがもっと欲しかった
粗品さんは「もめんとは準決勝のディズニーランドかUSJのネタの方が面白かった」とコメント。
キングオブコント決勝に行けないレベルだと厳しく指摘しました。
【電気ジュース】
評価のポイント
- テセウスの船、日本初期など、センスのいいフレーズが飛び出している
- 「買い物カートがBMWに突っ込んだ」「原付でパトが巻いた」など良いボケがある
- ツッコミが「楽しい」の連発で個性になっていない
改善点
- ツッコミは「楽しくないんじゃお前」など、もっと攻撃的にすべき
- 交換日記という設定が機能していない
- ボケのワードをツッコミに残すべき(日本書紀タイプならツッコミが言うべき)
- 掴みは良かったが、本編が漫才になっていなかった
粗品さんは電気ジュースに1票を入れましたが、「モントとの対決で満票ストレート負けするような内容じゃなかった」と擁護しました。
【とんでもあや】
評価のポイント
- とんでもないネタは笑える人が面白い人
- ただやばいだけでなく、合間に面白いことを言うべき
- ゴボウの匂い、ラッキーやらしくなど、ルールが分かるまでの流れは良い
問題点
- 体力がなく、リズムもめちゃくちゃで言えていない
- 取ってつけたようなビートが気になる
- ネタの多くをモダンタイムスが考えているという情報
辛口コメント
「自分で本気で考えたネタじゃないのが見える。人形みたいになっている」と指摘。
ただし、「1視聴者として見たら爆笑していたかも」とも認めています。
結果的には電気ジュースに1票を入れましたが、とんでもあやには「66対1」という圧倒的な差で負けました。
【紺野ぶるま】
評価のポイント
- 落語をテーマにしたのは禁じ手に近い(お笑いのフィールドを扱うと空受けする)
- 「明治」「日連のチャーハン」などキラーフレーズの入れ込み方が上手い
- ピンのコントとして完成度が高い
改善点
- メイジの前にもう一つキラーフレーズが欲しかった
- 日連のチャーハンの後の謎かけを受け待ちしすぎて聞き取りにくかった
- パラパラのチャーハンは10年以上前から色々な芸人がやっている
粗品さんは最終決戦で紺野ぶるまに投票。
「より自分の面白いと思うお笑いのセンスに近い」として評価しました。
【エルフ】
最も厳しい評価
- シャンパンコールとHEY!の写真撮影という伏線回収が安易すぎる
- 合わせ突っ込みや乗り突っ込みが多すぎる
- 質の悪い客の前でしか試していないから勘違いしている
- 「フリスクみたい」「家族になりすぎてる」など良いボケもあるのにもったいない
根本的な問題
「ギャルの大喜利」だけで漫才になっていない。
平場では荒川がギャルとして面白いのに、ネタになると発揮できていない。
「女芸人ってこういうことするやろ」というイメージを強化してしまい、本当に面白い女芸人が迷惑する。
励ましの言葉
「このままだとM-1は厳しい。もっと質の高いツッコミと掛け合いを増やせば、女王にも王にもなれる」
エルフが負けた際に「もう出てってください」と言われた場面については、「後輩に旨味を吸ってほしいからヒール役を買って出た」と説明しました。
【パンツ万博】
評価のポイント
- 準決勝のラーメン屋のネタの方が面白かった
- 犬だと思った→人だったという2択系のネタはメタ的で難しい
- 演じ分けの妙が50年前なら受けたかもしれない
改善点
- 保険の細かいやり取りが足りない
- エレベーターという設定は悪くないので、もっと展開を増やすべき
- 人だと分かった後のボケが少なすぎる
「1年目としてはすごい。ボケの子がクールでしっかりボケられている」と将来性は評価しました。
【ヤメピ】
評価のポイント
- 「関係性」というツッコミの勇気や、「裏で呼ぶやつ表で」など良いセンスがある
- ツッコミのふざけ方がブルーオーシャン(新しい領域)
- 8組の中で最も最先端でアグレッシブ
問題点
- タキノ(滝野)に似ているので、オリジナリティを確立する必要がある
- 受けるべきところで全く受けなかった
- 固定観念を覆せない客には理解されづらい
粗品さんはヤメピに1票を入れ、「もっと受けていいと思った」とコメント。
今日の客が悪かったと擁護しました。
【ニッチェ】優勝
評価のポイント
- 「バームクーヘンの恩」「これ迷言ですね」という江上さんの反応が秀逸
- 一つ一つに謝罪があるというテンポが良い
- ただのお土産、チロルチョコなど、良いペースで構築
物足りない点
- 後半に期待したが「YouTubeで配信されてる」という安直なボケ
- 今あまり面白くない芸人がやりがちなボケ(2025年にはきつい)
- 勝負ネタとしては弱く、ライブでの箸休め的な1本
2本目のコント
- 最初の「疑われるのが嫌だから店に来た」という狭さが面白い
- 近藤さんの「自分はデブだから」という自虐が時代的によくぞやった
- 爆発力とパワーがあり、演技力も楽しかった
最終決戦の判断
紺野ぶるま vs ニッチェ
粗品さんは紺野ぶるまに投票しましたが、結果は3対2対2で割れました。
紺野ぶるまを選んだ理由
- 「この人本当は面白い人なのでは?」という安転したシーンが印象的
- 大喜利のセンスや独創性が自分の好みに近い
- ピンコントの完成度の高さ
ニッチェの評価
- 女王にふさわしい安定感とパワー
- 現場の受けは圧倒的だった
- 売れているだけのことはある
THE Wへの思い
賞金1000万円について
「このレベルで1000万円は生態系を崩している。THE Wは反省すべき」と辛辣にコメント。
ただし、だからこそ全力で盛り上げなければならないとも語りました。
審査員としての成果
- 視聴者の「面白くない」という意見一辺倒だった状況に風穴を開けた
- 「おもろいやろ」という意見が増えたことで日本テレビを救えた
- 嘘は一度も言わず、真摯に向き合った
女芸人への期待
「本当に面白い女芸人の人たちは、安易な盛り上げをする人のせいで損をしている」と指摘。
質の高いお笑いを追求してほしいと訴えました。
THE Wの未来
「ニッチェさんには国民的スターになってTHE Wという大会の格を上げてほしい」と締めくくり、大会の発展を願いました。
まとめ
粗品さんの審査は、忖度なしの真剣勝負でした。
「面白くないものは面白くない」と言い切る姿勢は、賛否両論を呼びながらも、お笑い界に一石を投じました。
特にエルフへの厳しい指摘は「期待しているからこそ」という愛情の裏返し。
本当に面白い女芸人が正当に評価される環境を作りたいという強い思いが伝わってきます。
86分間のノーカット動画は、お笑いファンなら必見の内容。
粗品さんの審査眼と、お笑いへの深い愛情が詰まった貴重な記録となっています。




