ニュースでよく聞く「台湾有事」や「存立危機事態」という言葉。
でも、実際にそれが何を意味しているのか、なんだかピンとこない。
政治家が発言しても、難しすぎて正直わかりづらいし、どこか他人事に感じる……そんな人は少なくないはずです。
今、国会で交わされたある一言が、静かに波紋を広げています。
その裏にある日本の“本音”とは？
そして私たちの暮らしとどうつながるのか――
ここから先は、その見えづらい輪郭を、ぐっと身近な言葉でたどっていきます。
台湾有事とは？
最近ニュースでよく聞く「台湾有事」って、けっきょく何なの？
そんな疑問をもった人、多いと思います。
でも「戦争がどうこうって、なんか遠い話だし…」とスルーしがち。
けど実はこれ、あなたのスマホや給料、そして食卓にまで関係するかもしれない話なんです。
簡単に言うと、台湾有事とは──
中国が台湾を武力で取り込もうとする動き＝台湾で戦争が起きそうになること
のことです。
中国は「台湾はうちの領土！」とずっと言っています。
でも台湾側は「いやいや、私たちは別の国だし」と真っ向から反発。
おたがいに引く気はなくて、ずっと火種を抱えたままなんです。
さらに台湾には、世界の先進半導体の約70％を生産する大企業TSMCがあることで知られています。
スマホ、パソコン、車、冷蔵庫──
いまやどんなモノにも欠かせない半導体が、台湾から止まったら世界が止まるレベルなんです。
しかもここ数年、中国は軍事演習やサイバー攻撃を強化中。
そして2025年11月現在──
台湾の空の近く（ADIZ）に中国の戦闘機がしょっちゅう侵入し、海には艦隊がぐるぐる巡回。
まるで“囲い込み”を始めたような様子です。
火がつくのも時間の問題に見えてきます。
なぜなら、台湾と日本は“たったの111kmしか離れていない”から。
もし有事が起きれば──
- 半導体が止まってスマホや車が作れなくなる
- 原油・ガスも届かず、ガソリン代が跳ね上がる
- 沖縄や尖閣が巻き込まれる可能性も
「ある日突然、家電が買えない」
「仕事が止まる」
なんてことも。
実際に今、中国は日本への報復として「渡航自粛勧告」を出してきました。
これで観光客は激減し、さらに「半導体輸出も止めるかも？」なんてウワサも飛び交っています。
つまり、静かに経済が冷え込んでいく“前夜”にいるのかもしれません。
この台湾有事、もはや「海外の話」ではなく「となり町の火事」くらいの近さです。
次のセクションでは、もし起きたら“どんな形”で進むのか──
具体的なシナリオを見ていきましょう。
台湾有事のシナリオ
台湾で戦争が起きるとしたら、どんな順番で物ごとが進むのでしょうか？
いきなりミサイルが飛んでくる──そんなマンガみたいな展開よりも、
じわじわと首を締められるような“段階的な圧力”が現実的といわれています。
実際の有事シナリオは、グレーゾーンから始まり、海の封鎖や空の制限、そして本格的な侵攻へとエスカレートしていく流れです。
いわば、
「のどが渇く」→「水道が止まる」→「玄関を囲まれる」→「ドアを破られる」
そんなステップで、戦火が広がっていくイメージです。
まず最初の一手が、グレーゾーン行動。
これは軍事演習やサイバー攻撃、偵察機の飛行など、戦争と断言できない“ちょっかい”を出しながら、相手を揺さぶるフェーズです。
いま中国がやっている、台湾周辺の空への戦闘機侵入や、艦艇による威嚇航行も、まさにこの一環です。
その次が海上封鎖。
中国が台湾のまわりに軍艦を並べて、船や飛行機の通行を止める作戦です。
ここで港や空港が機能を失えば、台湾には食料もエネルギーも届かなくなります。
つまり、「家のまわりに柵を立てられて、宅配も水もストップ」みたいな状況。
中にいる人たちは、何もできずに困り果てていくわけです。
さらに事態が進むと、直接侵攻が始まる可能性もあります。
これは、ミサイルによる空爆や、上陸作戦で兵士を送りこむといった“本番モード”。
専門家の間では、中国の上陸能力にはまだ限界があるとされつつも、「一気に勝負をかけてくるかも」というシミュレーションも出ています。
隣の家に強引に押し入り、家具を蹴り飛ばし、住人を追い出すようなものです。
ちなみに、ここまでの流れは、数週間──あるいは数日で一気に進むとも言われています。
実際に2025年11月現在、米国防総省の報告では、中国軍による台湾周辺のADIZ（防空識別圏）侵入が年間3,000回を超えました。
過去最高の数であり、「封鎖・侵攻のリハーサルが現実に行われている」とも見られています。
そこに高市首相の「存立危機事態」発言が加わったことで、中国側が「日本も敵になる」と見なす動きも強まりました。
つまり台湾有事のシナリオは、もう「想像の中の話」ではありません。
現実の中で、少しずつ準備されている段階にあるのです。
次は、その中でも「なぜ日本が巻き込まれるのか？」というポイントに迫っていきます。
なぜ日本に影響するのか？
台湾有事が起きたとき、日本はどうなるのか？
この問いに対して「いやいや、台湾の話でしょ？」と思っている人がいたら、
それはちょっと“楽観的すぎる”かもしれません。
まず地理の話です。
日本の最西端、与那国島から台湾までは、たったの110キロ。
東京から静岡に行くくらいの距離です。
そんな近さだからこそ、戦火の“飛び火”が現実味を帯びるわけです。
そして今、防衛省は南西諸島に自衛隊を増やしています。
2025年11月現在では、地対艦ミサイルの追加配備も進行中。
中国の尖閣侵入は年間300日を超え、「常に誰かが近くで火遊びしてる」状態なんです。
次に、経済への影響を見てみましょう。
台湾周辺の海──ここは「シーレーン」と呼ばれ、中東から日本へ石油やガスの9割以上が通る、まさに生命線です。
さらに、スマホや車に欠かせない半導体も、このルートを経て日本に入ってきます。
もしここが封鎖されたらどうなるか。
工場は止まり、スマホは品薄に、ガソリンは跳ね上がり…。
数日で家計が直撃されます。
「台所のガスが止まる」
「スマホの心臓が止まる」
そんな例えがまったく大げさじゃなくなります。
そしてこれは、もう始まりつつある話です。
Bloombergの分析では、半導体のサプライチェーン寸断も懸念されており、実際に日本の一部メーカーでは発注遅延が起き始めています。
さらに重要なのが、安全保障の問題です。
日本とアメリカは同盟関係にあります。
米軍が台湾支援に乗り出せば、日本は後方支援を求められます。
基地提供、ミサイル迎撃、兵站（へいたん）支援。
その“舞台”となるのが沖縄です。
ここで注目されているのが、高市首相の発言です。
「台湾封鎖は存立危機事態になり得る」と明言したことで、中国側は日本も“当事者”として扱うようになりました。
経済制裁をちらつかせ、沖縄基地のリスクもぐっと高まりました。
そして最近、SNSではこんな声が増えています。
「台湾の次は日本じゃないか？」
「沖縄が戦場になるかも？」
これまでは、“ちょっと言いすぎ”と流されていた意見。
でも今では、多くの人が「それ、あり得るかも…」と感じはじめています。
実際、中国の尖閣接近は増え続け、11月は「日中対立がピーク」という分析も出ています。
だからこそ、台湾有事は「他人事では済まない」のです。
地理・経済・安全保障の3つが、日本をがっちり巻き込む。
この“構造そのもの”が、もう出来上がってしまっているのです。
次は、そのカギをにぎるキーワード──「存立危機事態」について、くわしく見ていきましょう。
存立危機事態とは何か？
テレビやネットで最近よく耳にする「存立危機事態」。
むずかしそうな言葉ですが、ようするに──
日本がまるごと“ヤバい状況”になったときに自衛隊が動ける仕組みのことなんです。
もともと日本のルールでは、「自分が攻撃されたら反撃OK」でした。
でも、2015年にできた「安全保障関連法」で変わりました。
今では、「他の国が攻撃されて、それが日本にも超ヤバく響くなら動いていいよ」というルールに。
これが「存立危機事態」。
日常で例えると…
たとえば、友だちの家（アメリカ）が火事になって、その火が風に乗って、あなたの家（日本）にも燃え移りそう。
そんな時、「手伝って消火していいよね」って話です。
ただし、これを使うには、3つの条件をぜんぶクリアしなきゃいけません。
- 日本の存続がほんとうに脅かされる
- 他にどうにもできる手段がない
- 必要最小限の力で対処する
そして、内閣が「これは危機だ」と判断した上で、国会の承認も必要になります。
で、ここからが本題。
2025年11月、高市早苗首相が国会でズバッと言い切ったんです。
「中国が戦艦を使って台湾を封鎖し、米軍が巻き込まれて戦闘になったら、
それはどう考えても“存立危機事態”にあたる可能性がある」
──という発言（※原文は「武力行使を伴えば、存立危機事態になり得るケース」）。
この「明言」が、大波紋を呼びました。
というのも、歴代の総理たちは「台湾有事＝存立危機か？」という質問に、ずーっと「ケースバイケースで」と“あいまい”に答えてきたんです。
それがいきなり「はい、可能性ありです」ときたもんだから──そりゃ中国もびっくり。
渡航自粛を発表したり、経済制裁をチラつかせたりと、ピリピリした空気に。
高市首相は「撤回はしない」としつつも、その後は「政府の従来方針に沿う」として、具体例の言及は控える姿勢に転じました。
それでも、この発言が与えたインパクトはかなり大きいのです。
なぜなら、この一言で多くの日本人がハッとしたから。
「台湾の問題って、日本にもガチで関係あるんだ…」
「となりの火事が、自分ちの庭に火の粉をまき散らす可能性」
これが“リアルに”なったんですね。
実際、今──
PLA（中国人民解放軍）の戦闘機は年間3,000回以上、台湾の防空識別圏（ADIZ）に入ってきています（米国防総省報告）。
11月現在、日中対立は「最悪の数年が続くかも」と分析され、Xでは「台湾有事＝日本有事か？」で議論が白熱中です。
この「存立危機事態」という仕組みは、ただの法律の言葉じゃありません。
いざというとき、「自衛隊がどう動くのか」のカギをにぎる判断軸なんです。
台湾有事が現実味を増す中、日本がどうするか──その一手が、未来を大きく左右します。
今こそ私たちは台湾有事を、“自分ごと”として受け止めるときなのかもしれません。
