メジャーリーグのMVPといえば、栄光の象徴。
でもふと気になるんですよね。
「いくらもらえるの?」って。
あれだけ注目される賞なのに、意外と“お金の仕組み”は知られていません。
トロフィーだけ?それとも裏に何かがある?
この記事では、「MVPに賞金はあるのか?」という素朴な疑問を入り口に、その裏側で動いているお金や価値、そしてメジャーならではの報酬の考え方まで、3つの視点でわかりやすく解きほぐしていきます。
メジャーMVPとは?
メジャーリーグのMVPとは、もっとも価値のある選手として称えられる特別な存在です。
毎年、ア・リーグとナ・リーグからそれぞれ1人ずつ、その年のヒーローが選ばれます。
ただの成績トップではなく、体現した影響力。
「この人がいなかったらチームは勝てなかったよね」
といわれるほどの圧倒的な貢献ぶりを示した選手が評価されます。
選ぶのは、全米野球記者協会(BBWAA)の記者たちです。
メジャー30球団がある都市ごとに2人ずつ、合計60人ほどが投票に参加します。
1位〜10位までに点数をつけ、もっとも得点の高かった選手がMVPになりますと言い切っていいでしょう。
そして近年圧倒的なのが、大谷翔平(おおたに しょうへい)です。
2023年と2024年は2年連続の満票MVPという快挙でした。
ア・リーグとナ・リーグの両方で受賞するのは前代未聞ではないでしょうか。
さらに2025年には、ナ・リーグで4度目となる満票受賞。
前人未踏の「3年連続・満票MVP」という異次元の伝説。
そんな大谷が手にするこのMVPは、1931年から続く超・伝統賞です。
(正確にはナ・リーグでは1911年に起源があるともいわれています)
一度とるだけでも超名誉で、2回とればレジェンド扱いです。
3回とったら…もう殿堂入り確定レベルではないでしょうか。
まさに格別の重み。
でも、やっぱり気になるのはおカネの話ですよね。
ここ数日も、2025年のMVP発表をめぐってSNSやメディアが大盛りあがりを見せています。
「で、結局いくらもらえるの?」という声も飛び交っていますと聞きます。
というわけで、次はみんなが知りたい「MVPに賞金はあるのか」という疑問への核心に触れていきましょう。
MLBのMVPに賞金は出るのか?
まず、気になるその答えですが――賞金は出ません。
たとえば、昨日(11月13日)発表された2025年のMVP。
ナ・リーグでは大谷翔平が4度目の満票受賞、ア・リーグではアーロン・ジャッジが3度目の栄冠を手にしました。
2025年ナ・リーグ MVP
大谷翔平 選手
3年連続 4度目の授賞🏆👏
満票です👏 pic.twitter.com/uZjHKVecnb
— JMFF💙 (@THINK_OTHER_) November 14, 2025
ふたりとも堂々たる成績で選ばれましたが……もらえるのはトロフィーだけです。
SNSでも「大谷また満票!」「ジャッジも安定すぎ!」と話題になる一方、
「え、賞金ないの?」
「マジでゼロ?」
と驚きの声がじわじわ広がっています。
でもこの仕組み、じつはずっと変わらないルールなんです。
メジャーリーグのMVPは、MLBそのものではなく、全米野球記者協会(BBWAA)が主催しています。
投票形式で決まり、受賞者にはKen Griffey Jr. Trophy(ケン・グリフィー・ジュニア・トロフィー)が贈られる。
それだけです。
賞金も副賞も、いっさいナシ。
いっぽう、日本プロ野球(NPB)のMVPには、500万円の賞金がつきます。
この差、なかなかのギャップではないでしょうか。
じゃあアメリカはドライなのか?といえば、それも少し違います。
たとえば、オールスターMVPには10万ドル(2025年時点で約1,500万円)の賞金が出ますし、
ワールドシリーズ優勝チームには巨額の分配ボーナスがあります。
ことし(2025年)は、ドジャースが優勝。
そのボーナス総額はなんと約3,000万ドル(約45億円)でした。
選手ひとりあたりには約40万ドル(約6,000万円)が分配されました。
つまり、アメリカのプロ野球では「勝利そのもの」にお金がついてくるという考え方。
逆に、MVPのような“個人表彰”には金銭的な報酬がないんです。
この違い、おもしろいですよね。
日本だと「MVP=賞金で評価される」というイメージがありますよね。
でもアメリカでは、「MVP=名前が歴史に刻まれる」こと自体が最大のごほうび。
たとえば、ある記者がこんなふうに語っていました。
「MVPに賞金はない。でもそれが選手のモチベーションを下げることはない。本当に欲しいのは、“歴史に残る価値”だから」
なるほどな…って思っちゃいますよね。
とはいえ、本当に“お金がゼロ”で終わるのか?というと――
じつはここからが本題です。
次のセクションでは、なぜ賞金がなくても選手の年収が爆上がりするのか、
その“お金の仕組み”をじっくり解説していきます。
賞金ゼロでも稼げる理由
たしかに、メジャーリーグのMVPには賞金は出ません。
そして昨日(11月13日)の2025年MVP発表でも、ナ・リーグは大谷翔平が4度目の満票、ア・リーグはアーロン・ジャッジが3度目。
ふたりとも、もらえるのはトロフィーだけでした。
それなのに、どうして選手の年収がとんでもないことになるのか。
ここが、メジャーのおもしろいところなんです。
まず、MVPをとると市場価値が一気に跳ね上がります。
これは“名刺”や“肩書き”というレベルではなく、
その選手に新たな値段がつくような感覚。
たとえば大谷翔平。
2023年MVPのあと、スポンサー契約は17社以上に拡大し、その推定総額は約65億円とも言われました。
さらにドジャースへ移籍し、10年7億ドル契約を締結。
その影響で、2025年のエンドースメントは100億円超と報じられています。
これはもう、賞金100万円では到底届かない世界です。
ジャッジも同じく、2022年のMVP受賞後、
ヤンキースと9年3億6,000万ドル(約468億円)の契約を結びました。
MVPをとったことで、「勝てる選手」という評価がつき、
チームとしても高額を払う理由が明確になるわけです。
つまりMVPは、選手にとって未来の収入を跳ね上げる“証明書”なんですね。
次にわかりやすいのが、スポンサーの動き方です。
企業はイメージで動きます。
そして「MVP」という肩書きは、“プロが選んだその年の最強”という証にもなる。
もちろん広告にも活用できます。
だから、企業の方から契約オファーが来るんです。
実際、大谷やジャッジがCMやイベントに出るたびに、
「やっぱりMVPは別格だよね」
という声がSNSで飛び交います。
それがまた、新しい契約を呼びこむ……まさに正のループです。
そしてもうひとつ。
長い目で見ると、殿堂入りの近道にもなります。
MVPをとった選手の殿堂入り率は4〜5割。
複数回の受賞があれば、さらに確率は高まります。
殿堂入りすれば、引退後の仕事の幅も一気に広がる。
講演会、イベント、解説、テレビ出演……
“第二の人生”でもしっかり稼げるわけです。
こうして整理してみると、賞金がなくてもお金が動く理由が見えてきます。
MVPは、いまの収入というより「未来のお金の流れを変える賞」なんですね。
だからこそ、選手はみんな全力で狙うし、ファンも注目する。
そこにあるのは、目に見える賞金ではなく、キャリアと価値を底上げする巨大な経済効果です。
そして結局のところ――
メジャーリーグのMVPに賞金はあるのか?
たしかに“現金としてはゼロ”。
でも、そのあとに動き出す“お金の仕組み”は、賞金よりもはるかに大きい。
そう言い切れるだけの現実が、たしかに存在しています。




