「尺犬DAY」という言葉を、あの朝まで知らずにいた人は多かったはずです。
2025年10月4日の明け方、新宿2丁目の雑居ビルの前で、当時Aぇ! groupのメンバーだった草間リチャード敬太が、公然わいせつの疑いで逮捕されました。
その直後からXに流れてきたのが、聞き慣れないこのイベントの名前です。
あれから、もうすぐ1年。
罰金の略式命令、グループからの脱退、「心の病」の公表を経て、リチャは2026年7月に活動を再開しています。
10月には東京グローブ座での公演、年明けにはミュージカルへの出演も決まりました。
今回は、尺犬DAYとは何なのか、あの朝について分かっていること、そしてその後の1年を、順番にまとめていきたいと思います。
まずは、言葉の意味から。
尺犬DAY(しゃくいぬデー)は、新宿2丁目の一部の店が開いている、男性客どうしの交流を目的にしたイベント日の呼び名です。
「尺犬」は、そうした場で使われてきた俗語。
店ごとに曜日を決めて開かれていて、Xに出回った店の告知画像には、下着姿での来店を条件にした日の案内も写っていました。
リチャの件で、この言葉を初めて知ったという人も少なくありません。
「知らずに済んだ言葉を知ってしまった」という戸惑いは、あの週末、たくさんの人の本音だったと思います。
ここで、ひとつ押さえておきたいのは報道との違いです。
週刊誌の報道が書いたのは「客同士で交流ができる“イベントデー”」というところまでで、「尺犬DAY」という名前を一気に広めたのは、Xや掲示板のほうでした。
事件の翌日には、この名前とビルに入る店の名前を並べた投稿がいくつも出回り、そのまま検索の入口になっていきます。
けれど、リチャが逮捕されたのは店の中ではありません。
ビルの1階、エントランスの付近です。
イベントの中身がどれだけ詳しく語られても、それはリチャが何をしたのかの答えにはなりません。
では、あの朝について何が分かっているのか。
いちばん多く検索されたのは、「リチャはどの店に行こうとしていたのか」でした。
現場は、新宿2丁目にある「サンフラワービル」という雑居ビルです。
ゲイバーなどの店が入っているビルで、事件は10月4日の土曜日、午前5時40分ごろに起きたと報じられています。
金曜の夜の営業が、まだ続いている時間でした。
手がかりになったのは、同じビルに入る店の関係者が、NEWSポストセブンの取材に語った証言です。
「5時すぎから5時半くらいの間に来たんで、時間なんでお断りしたんです」
その店は朝6時までの営業で、閉店間際だったために入店を断ったとのこと。
「一見酔っている様子はなくて、ごねたりもしなかった」とも話しています。
リチャは店の前までは来ていたけれど、中には入っていなかった。
報道で分かっているのは、この形です。
その後について、関係者は「僕は見ていないんですが」と前置きしたうえで、ビルをタクシーで離れたあと、また戻ってきて事件が起きたようだと語りました。
いっぽうで同じ記事は、逮捕された時点のリチャが、取り調べもままならないほど酔っていたとも伝えています。
入店を断った店では「酔っている様子はなかった」。
逮捕のときには「かなり酔っていた」。
わずか30分ほどのあいだに、証言がふたつに割れています。
そこが、この朝のいちばん分かりにくいところです。
東京地検は勾留を求めず、リチャは10月6日の午後に釈放されました。
報道陣の前では、涙を浮かべて頭を下げています。
画面越しにその姿を見て、言葉が出なかったファンも多かったはずです。
「結局、尺犬DAYに参加していたの?」
この問いにいちばん近い答えは、店には入っていない、けれど店の前までは来ていた、になります。
イベントの中にいたという証言も写真も、報道には一度も出てきていません。
そのぶん、空いたところを埋めていったのはXの推測でした。
「誰かに仕組まれたのでは」「服を取られて困っていたのでは」という声は、事件の翌日には大きく広がっています。
その声がどこから出てきたのかは、こちらにまとめました。
ただ、1年たったいまも、こうした説を裏づける発表や報道は出ていません。
本人も事務所も、あの朝の出来事そのものについては、具体的な説明をしないままです。
この件では、リチャの恋愛の対象をあれこれ言い当てようとする投稿も、たくさん流れました。
けれど、現場のビルにどんな店が入っていたかは、本人の心の中を教えてはくれません。
本人が語っていないことを、外から名札のように貼りつけることはできないはずです。
そんななか、釈放の日のタイムラインには、こんな受け止め方も広がっていました。
雑に守るのでもなく、叩くのでもなく。
分からないことは分からないまま、それでも待つ。
ファンは釈放の日にはもう、その構えを選んでいました。
次に大きく動いたのは、逮捕から1か月半ほどたったころ。
2025年11月13日に略式起訴され、20日、所属するSTARTO ENTERTAINMENTは、リチャが東京簡易裁判所から罰金10万円の略式命令を受けたと発表します。
略式起訴がどのくらいの重さの処分なのか、その答えはこちらに。
そして同じ日の発表で、リチャはAぇ! groupを脱退することになりました。
本人のコメントには、それまで誰も知らなかったことが書かれていたんです。
「1年ほど前から僕は心の病を患っており」
脱退を選んだ理由については、「このまま自分がいることで皆の足を引っ張ってしまう、より多くの迷惑をかけてしまうという思いもあっての決断」と続けています。
事務所は退所ではなく契約タレントとして残し、「本人の体調が一番大切なこと」として支えていくと発表しました。
この日から、Aぇ! groupは4人になります。
メンバーが抜けるのは、関西ジュニア時代の2023年に続いて2人目。
ファンのあいだには「脱退じゃなくて活動休止でも良かったんじゃないか」という声もありましたが、いちばん広く共有されたのは、こんな投稿でした。
誰かを責める言葉ではなく、「全員悲しいくらいに優しい」。
あの夜にファンが泣いたのは、怒りよりも、誰も悪者にできない苦しさのほうでした。
それから、7か月あまりが過ぎて。
2026年7月1日の夜、STARTO ENTERTAINMENTは、リチャが翌2日から活動を再開すると発表しました。
活動休止から、およそ9か月です。
発表文には「心身ともに回復し、自分自身を見つめ直すことで芸能活動により一層精進してまいります」とあり、2日にはInstagramも開設されました。
ファンがまず反応したのは、発表の中身より、その出し方だったんです。
リチャが十四松を演じた映画『おそ松さん 人類クズ化計画!!!!!?』は、2026年1月の公開予定から延期され、6月12日に公開されたばかり。
その6月を越えて、しかも日付が変わるころに届いた知らせを、あるファンはこう受け止めています。
「そういうところが好き」。
9か月待った人の言葉として、これ以上まっすぐなものはなかなか見つかりません。
そこにモヤモヤが残る人がいるのも、自然なことです。
ただ、刑事の手続きとしては、11月の略式命令ですでに結論が出ています。
残っているのは、ファン一人ひとりが「おかえり」と言えるかどうか、そこだけなんですね。
7月30日には、再開してはじめての大きな舞台が発表されました。
東京グローブ座で10月28日から30日まで開かれる『THE RE:BORN CHASING DISCOTHEQUE LIVE』です。
屋良朝幸が2018年から総合プロデュースしてきたダンスとライブの公演『THE YOUNG LOVE DISCOTHEQUE』を、リチャが受け継ぐ形になります。
2018年と2019年の公演にも出ていたリチャにとっては、7年越しの再会でした。
音楽監督のm.c.A・Tが、この公演のために新曲を書き下ろすことも明かされています。
屋良朝幸も、自分は裏でリチャを支えながら一緒に作っていく、とコメントを寄せました。
この公演の一般発売日として告知されていたのが、10月4日の日曜日。
逮捕から、ちょうど1年の日です。
偶然なのかどうかは分かりません。
予定どおりなら、あの朝と同じ日付に、今度は客席のチケットが売り出されることになります。
公演の発表に添えられたリチャのコメントには、こんな一節がありました。
「お話をいただいた時は、ファンのみなさまに今の自分を届けられるのか、自分らしさを100%発揮できるのかと、さまざまな想いもありました」
あの朝の説明のかわりに、リチャが自分の言葉で差し出したのは、「今の自分を届けられるのか」という迷いでした。
8月27日には、2027年1月から2月に上演されるミュージカル『三銃士:Reborn』に、ダルタニャン役で出ることも発表されています。
主演は上田竜也で、大阪のSkyシアターMBSと東京の新橋演舞場をまわる予定です。
これから決まっている舞台を並べると、こうなります。
「やりたかったミュージカル」という一言に、待っていた時間の長さがにじんでいるようでした。
尺犬DAYがどんな夜なのかは、いまなら調べればすぐに分かります。
でも、あの朝リチャに何があったのかを知っているのは、本人だけです。
10月28日の客席に届くのは、あの朝の答えではなく、今のリチャのダンスなのだと思います。
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