イラストレーター・江口寿史(えぐち ひさし)に持ち上がった“トレース疑惑”。
一枚のポスターをきっかけに広がった騒動は、今やSNSで“検証の嵐”に発展しています。
「プロが参考にするのは当たり前?」
「どこまでがアウトで、どこからがセーフ?」
時代とともに変わる“創作の境界線”に、世間の視線が集まっています。
この記事では、トレパクと言われた背景や過去の元画像、そしてSNSの声をもとに、疑惑の全体像をわかりやすく整理。
特に見逃せないのは、“あの有名企業の広告”にも疑惑が向けられていること。
静かな画風の裏に、何があったのか――
少しずつ明らかになってきた“過去のトレース元画像”も含めてお届けします。
江口寿史に、まさかのトレパク疑惑が持ち上がっています。
名前を聞けば「懐かしい!」「オシャレな線が好きだった」なんて声も多いはず。
そう、あの『ストップ!! ひばりくん!』で一世を風靡したベテラン漫画家・イラストレーターの江口寿史(68歳)です。
しかし今、SNSでは
「え?あの江口寿史がトレパク?」
と、驚きと怒りの声が広がっています。
きっかけは、2025年10月3日にX(旧Twitter)へ投稿されたある説明文。
江口が手がけた「中央線文化祭2025」のポスターイラストが、Instagramで見かけた一般ユーザーの自撮り写真を参考にして描かれていたことが明かされたのです。
彼はXで、「インスタに流れてきた完璧に綺麗な横顔を見て描いた」と投稿。
そして「後から事後承諾を得た」と主張しています。
…が、モデルとなった金井球(かない きゅう)氏はこれに反論。
と、強く不快感を示しています。
この時点で「え、それアウトでは…?」と感じた人、多いんじゃないでしょうか。
しかもそのポスターは完全に商用の広告イラスト。
趣味のラクガキとかじゃありません。
プロとして正式な仕事で、無断トレース+商用利用って……そりゃ炎上しますよね。
当然、Xではこんな声が相次いでいます。
「プロとして意識低すぎない?」
「“見かけたから使った”が通るなら誰でもできるじゃん」
さらに問題を深めたのは、江口本人の過去発言です。
過去のインタビューで「トレースに罪悪感はないが、他人のパクリは問題」と語っていた内容が再発掘され、まさかの自己ブーメランに。
「いや、それ自分がやってるじゃん!」というツッコミがネットで飛び交いました。
そして事態はここで終わらず。
Zoffやデニーズといった企業案件のイラストでも、過去の作品にトレパク疑惑が浮上し、企業側が事実関係を調査すると発表。
「え、もしかして他にもあるの?」と疑惑の目はさらに広がっていきました。
さらに、過去に同様の疑惑で大炎上した古塔つみとの関連を指摘する声も上がり、ネットは騒然。
「第二の古塔つみか…」
「あの騒動、再びか」
と、連鎖的な炎上モードに突入しました。
ファンの間からは裏切られた気分という悲しみの声も多く見られます。
一方で、「トレースは技法の一つ。問題は“無断使用”」「昭和の価値観のまま止まってたのかな」といった声もあり、賛否が分かれつつあるのも事実です。
ただし今の時代、画像の元ネタなんて一瞬で特定されるのが現実。
昔のように「ちょっとくらいバレないだろう」は、もう通用しません。
信頼を売るはずの“プロ”がその意識を持っていなかったことが、ここまでの騒動を招いたとも言えるでしょう。
さて、このトレース。
一体どこまでがセーフで、どこからがアウトなのか?
次のセクションで、トレースの問題点についてわかりやすく見ていきましょう。
今回の江口寿史の件でSNSを賑わせたワード、それが「トレパク」。
でも正直、こんなふうに思った人も多いのでは?
「トレースって昔からやってる技法でしょ?」
「何がいけなかったのかイマイチわからない…」
たしかに、トレースそのものは悪ではありません。
たとえば、自分で撮った写真をなぞって構図を取ったり、影を確認したり。これはプロ・アマ問わず、絵を描く人にとっては普通の練習法です。
つまり、“どんな目的で、誰の画像を、どんな形で使ったか”がカギ。
この線引きが曖昧になると、一気にアウトになる可能性があるんです。
実際に、OK・NGをざっくり分けるとこんな感じ。
✅ OK例
❌ NG例
で、今回の江口氏のケースはというと…。
Instagramで偶然見かけた他人の自撮り写真を、本人に無許可のまま参考にし、それを商用ポスターイラストとして使ってしまったという構図です。
その上で「事後承諾を得た」と江口氏は主張しましたが、モデルとなった金井球氏は「承諾していない」と明確に反論。
ここでまず、認識の食い違いが浮き彫りになっています。
Xでは、「事後承諾って、後から“いいでしょ?”って迫るのが一番ズルい」「“描いたあとに許可取った”って…それ許可じゃなくて報告でしょ」と、共感の声とツッコミが多数。
しかも、商用利用の案件だったことがまた重たい。
「インスタで見かけて、勝手に描いて、広告にしちゃいました」これ、冷静に考えてもリスクがデカすぎますよね。
法的にもアウトな可能性があります。
なぜなら、これは単なる“参考にした”の域を超えて、著作権侵害(複製権違反で最大7年以下の懲役または700万円以下の罰金)、さらには肖像権やプライバシー権の侵害にまで発展しかねないからです。
金井氏は「私は私という人間に対して、権利を持っている」と発言。
そんな状況、誰だって嫌ですよね。
たとえばあなたが、完璧にキメた自撮りをインスタに投稿したとします。
それをどこかの企業が、事前連絡もなく勝手に使って、「いや〜良かったよ、あとでちゃんと連絡したから!」なんて言ってきたら…。
「いやいやいや、最初に言ってくれ!」って思いませんか?
Xではこんな声もあがっています。
今の時代、画像検索やSNSの検証で、「これ元ネタこれじゃね?」って一瞬で特定されてしまうんですよね。
昔は“参考にしただけです”で済んだことも、今では「どこまで似てるか」レベルで画像が検証・比較されます。
プロであればあるほど、そこはシビアに見られるのが現実。
だからこそ今回の問題は、単に「トレースした/しない」ではなく、“他人の創作物や姿を、どこまでリスペクトして扱えるか”という根本的なクリエイター倫理が問われているんです。
トレース自体は悪ではない。
でも“無断”は、もう言い訳にならない時代。
まさに、意識のアップデートが求められる瞬間ではないでしょうか。
今回のトレパク騒動を語るうえで外せないのが、「実際にどの画像が元ネタだったのか?」という点です。
炎上のきっかけとなったポスター1枚だけでは終わらず、過去の作品にも「これも似てない?」と指摘が相次ぎ、ネットでは“検証ラッシュ”状態となっています。
現在、SNSではユーザーたちが自主的に比較・検証を進める動きが続いています。
すべての作品が“黒”と決まったわけではありません。
ただ、これまで江口作品に唯一無二の個性やオシャレ感を感じていたファンにとっては、「元があったの?」という事実がショックだったのもまた事実です。
かつて江口はインタビューで「パクリはよくない。そこにオリジナリティがない」と語っていました。
その言葉が今、自らに返ってきている形です。
この一連の騒動は、単なるトレンド炎上では終わりません。
プロが描いたイラストに、他人の創作が無断で混ざっていたと知ったときの落胆。
それがどれほどファンの信頼を傷つけるのか。
そして、どんなに完成度の高い絵でも、その裏に他人の努力があったとしたら――それはもうオリジナルではありません。
今、問われているのは技術ではなく、姿勢とリスペクト。
著作権・肖像権というルールはもちろんのこと、「作品を作る者として、どこまで誠実でいられるか」が強く求められています。
江口寿史というレジェンドが直面しているこの騒動は、まさに“トレースとパクリの境界線”を世間が再確認するタイミングでもあるのです。
This website uses cookies.