2025年3月28日、ミャンマーで発生した大地震の影響で、バンコクのチャトウチャック区に建設中だった33階建てビルが崩壊。
その衝撃的な映像がSNSで拡散され、「また中国のビルか?」と疑問や不安の声が一気に広まりました。
ネットでは
といった憶測が飛び交い、注目を集めています。
本当に中国企業だけの責任なのか?
倒壊の本当の原因は何なのか?
この記事では、
をわかりやすく徹底解説していきます。
ビル倒壊の背景にあるリアルな事情を一緒に見ていきましょう。
場所はチャトウチャック市場の近く
2025年3月28日、ミャンマーで発生したマグニチュード7.7の地震。
実はその揺れが、遠く離れたバンコクにも届きました。
そして、その影響で建設中の高層ビルが崩壊したのです。
現場は、バンコク北部のチャトウチャック区(Chatuchak District)。
このエリア、観光客にもおなじみの「チャトゥチャック・ウィークエンドマーケット」があることで有名ですよね。
あの活気ある市場のすぐ近く、カムペーンペット通り(Kamphaeng Phet Road)沿いで、33階建てのビルが一瞬で崩れ去ったのです。
周辺には、バスターミナル「モーチット」や、「クルンテープアピワット中央駅(旧バンスー駅)」もあり、交通の要でもあります。
まさに“首都の玄関口”のような場所での出来事だっただけに、その衝撃はかなりのものでした。
倒壊したのは、タイ政府監査委員会の新庁舎として建設中のビル。
進捗率は約30%、まだ完成前の段階でした。
とはいえ、周囲のビルは無事だったのに、このビルだけが崩れたという点は気になりますよね。
「なんでここだけ?」「構造に問題があったのでは?」
そんな声が多く上がるのも当然です。
X(旧Twitter)などでは「また中国のビルか…」という声が飛び交いました。
でも、本当に“中国のビル”だったのでしょうか?
結論から言うと、“中国が関与していたビル”というのが正確です。
このビルの建設は、中国の国有企業「中国鉄道第10局グループ(中鉄十局)」のタイ支社と、タイの大手建設会社「イタリアンタイ・デベロップメント(ITD)」によるジョイントベンチャー方式で進められていました。
つまり、建設はタイと中国の『合同建設』だったわけです。
設計監修はタイの企業連合「PKWコンソーシアム」が担当。
建物の発注者もタイ政府です。
そう聞くと、「じゃあ中国のビルとは言えないじゃん?」と思いますよね。
でも、なぜかネットでは**「中国のビル」と断定されがち**です。
理由は単純で、倒壊したことに対する批判の矛先が“中華クオリティ”に集中しているからなんです。
過去にも、中国の建設企業が海外で手抜き工事を行ったり、地震で崩壊したりした事例があるため、今回の倒壊も「またか…」と結びつけられがちなんですね。
つまり、厳密に言えば「中国のビル」ではない。
けれど、中国企業が深く関わっていたビルであることは事実。
そのため、「中国のビル」と呼ばれてしまうのも、ある意味では仕方ない流れかもしれません。
↑こちらでは今回の地震でビクともしなかった大林組のビルや日本の耐技術の高さを解説しています。
そして、もうひとつ話題になったビルが、ハンプトン・レジデンス・トンロー。
このビルはバンコクのトンロー地区にある高級コンドミニアム「Hampton Residence Thonglor(ハンプトン・レジデンス・トンロー)」。
このビルのスカイブリッジが損傷・崩壊したと報じられています。
この物件は、「Park Origin Thonglor(パークオリジン・トンロー)」という大規模プロジェクトの一部で、Origin Propertyと野村不動産が共同開発した高層タワーです。
特徴的なのは、2つの高層棟を空中でつなぐ“スカイブリッジ”。
地震の揺れでこの橋が切断されたとXユーザーの投稿でも確認されています。
被害が発生したとされる場所は以下の通りです:
建物自体は完成済みで、居住者がいたことが確認されていますが、死傷者の情報は報道されていません(2025年3月末時点)。
チャトゥチャック区で倒壊した33階建てビルとは別件ですが、都市部の高層建築が揺れにどう耐えたかという意味で、大きな注目を集めています。
ここではミャンマー大地震によるバンコクのビル倒壊に関する疑問について答えていきます。
Q&A方式なので気になるところをチェックしてくださいね。
最大の理由は「構造」と「タイミング」にあります。
このビルはまだ完成前で進捗率は約30%。
補強材や壁などが未設置の状態で、構造的に不安定でした。
そこへ、ミャンマーから伝わった長周期振動の強い揺れ。
しかも構造はフラットスラブ構造。
梁がないため、地震の力を分散しづらく、柱と床の接合部に大きな負担がかかりました。
結果、「パンチング破壊」と呼ばれる現象が連鎖的に発生。
上階の重さが一気にのしかかり、ドミノ倒しのように崩壊したと考えられています。
周囲のビルが無事だっただけに、構造と建設途中だった点が致命的でした。
はい。タイの基準では、そもそも大きな地震を想定していないことが問題でした。
バンコクは「地震が少ない地域」とされており、耐震設計の厳しさは日本のように高くありません。
フラットスラブ構造も、その前提で採用されたとみられます。
ですが、今回はマグニチュード7.7という規模の地震。
長周期の横揺れがバンコクまで届いたことで、耐震性の甘さが露呈しました。
「設計自体が過小評価だったのでは?」という専門家の声も上がっています。
そうなんです。他のビルは崩れていません。
違いは、「建物の構造」と「完成度の差」。
他の建物はフレーム構造で、梁や耐力壁がしっかり設置されていた可能性が高いです。
また、完成済みであれば壁・補強・外装材なども加わり、揺れに対して“しなやかさ”が生まれます。
一方、倒壊したビルは工事中。
まだ補強が足りない段階だったことで、揺れに耐えきれず崩壊したと見られています。
「設計ミスだった」と断定するには調査結果を待つ必要がありますが、構造選定自体が“無理のある選択”だった可能性は高いです。
報道によると、このビルは「偏心したコアチューブ構造」や「細い1階の柱」など、高層ビルには不向きな要素がいくつも含まれていたといいます。
さらに、外観の美しさや透明性を重視するあまり、外壁に耐力壁を設けない設計だったという指摘も。
これはタイ政府の要望によるものだったという話もあり、設計サイドと発注者の意向が噛み合っていなかった可能性もあります。
現時点で「明確な証拠」は出ていませんが、疑惑の声は多数あります。
中国企業の建設現場では、過去にも手抜き工事の事例が指摘されてきました。
鉄筋不足やコンクリートの質が悪いといった問題ですね。
今回も「建設中だった」という点が、逆に“検査の目が甘かったのでは?”と疑われる原因に。
Xでも「また中国式の手抜き?」「あの崩れ方、普通じゃない」といった投稿が多数見られています。
いいえ、それは事実ではありません。
中鉄十局(China Railway No.10 Engineering Group)は中国の国有企業で、すでにアジアやアフリカ、中東などで複数の大型インフラ案件を手がけてきた実績があります。
タイ国内でも、これまでに鉄道や都市開発プロジェクトに関わってきました。
今回の案件は「初めての海外高層ビル建設」ではありません。
ただ、“地震で崩れた中国企業関与の高層ビル”としては、インパクトが強すぎましたね。
これは一部事実です。
事件直後、中国本土のメディアはこのビルの倒壊について報じましたが、その後、多くの関連ニュースが削除されたと指摘されています。
Xでも「中国当局がまた隠した」「ニュースが消えた」といった投稿が目立ちました。
国営企業が関与していたことで、イメージダウンを避ける意図があったのかもしれません。
ただ、国際報道(BBC、NYTなど)が大きく取り上げたため、完全に隠すことは不可能でした。
はい、日本と比べるとかなり緩いのが現状です。
タイの建築基準(DPT 1301-52)は、バンコクのような地震リスクが低い地域に向けて作られています。
想定されているのはマグニチュード5〜6程度まで。
耐震性よりも洪水対策の方が優先されるケースが多く、高層ビルに対する耐震補強の義務も緩やかです。
今回の倒壊で、その甘さが浮き彫りになりました。
一概には言えませんが、その傾向はあると言われています。
特に民間プロジェクトでは、「安く、早く」が優先される場面が多く、安全性が二の次になることも。
今回は政府関連施設の建設でしたが、それでも予算や完成スピードを重視していた可能性は否定できません。
Xでも「またコスト重視の設計か」といった指摘がありました。
アジアの発展途上国では、安全とコストのバランス取りが難しい現実があります。
その通りです。
バンコクでは、有感地震が起きたのは約95年ぶりとも言われています。
基本的に地震活動が少ない地域なので、日常的な「地震対策」の意識は非常に低いです。
日本のように「いつか必ず来る」と構えている国とは、根本的な感覚が違います。
それだけに、今回のような大規模な揺れが想定外だったのも事実です。
ほぼ起きません。
日本は世界有数の地震大国。
その分、耐震基準・設計・検査・施工すべてが桁違いに厳しいです。
仮に中国企業が日本で建設を行うとしても、日本の法令に則った設計と施工が必須。
耐震性が不十分であれば、審査段階でNGを食らいます。
ただし、監視が甘かったり、偽装が行われればゼロとは言い切れません。
けれど日本の場合、万が一が起きても検証と対策がすぐ行われる点が大きく違います。
結論から言うと、非常に安全です。
新耐震基準(1981年以降)では、震度6強〜7の地震にも倒壊しない設計が義務づけられています。
さらに、タワーマンションには「制震装置」や「免震構造」が導入されている物件も多く、長周期地震動にも対応しています。
東日本大震災のときも、多くの高層ビルは無事でした。
それでも心配な人は、耐震等級や建設年度をチェックするのが安心です。
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