山本章一の性加害事件で、加害者本人と同じくらいネットで名前が飛び交っている人物がいます。
小学館マンガワン編集部の編集者、成田卓哉氏です。
被害者への150万円の口止め交渉に加わり、有罪判決を受けた作家にペンネームを変えさせて新連載を回し続けていた。
しかも逮捕や有罪が確定した後も、過去にSNSへ上げていた作家との楽しそうなランチ写真が掘り返され、「この人、よくこんな写真残しておけたな」とネットが凍りつきました。
正直、これだけ聞いても「どういう神経してるの?」と思ってしまいますよね。
でも、この人はそもそもどんなキャリアの持ち主で、マンガワンで何をしてきたのでしょうか。
そして本当に一人でここまでの隠蔽ができたのか、それとも組織ぐるみだったのか。
調べていくと、「編集者個人の暴走」では到底片づかない構造が浮かび上がってきました。
目次
事件の報道で急に名前が出てきた成田卓哉氏ですが、実はマンガワンの中では結構な顔役だった人物です。
ウェブ漫画やデジタルコミックの世界では知る人ぞ知る存在で、担当作品にはヒット作がずらりと並んでいました。
まずはこの人がどういう経歴をたどってきたのか、順を追って見ていきましょう。
成田卓哉氏の年齢は、2026年時点でおそらく37〜40歳くらいと推定されています。
結婚式を挙げている画像も出ているので、離婚していなければ既婚者ということになります。
根拠になっているのは2019年のDIME誌の密着取材記事で、そこに「当時30歳」と書かれていたこと。
逆算すれば大きくは外れないはずです。
学歴については、ネット上で早稲田大学出身との情報が複数見つかります。
編集者としてのキャリアは約14〜15年。
大学卒業後に小学館関連の編集職に就いたとみられ、マンガワンの立ち上げ期から関わっていたようです。
ちなみに成田氏はマツモトキヨシ社長の息子と言われており、コネ採用疑惑もあるそうです。
さて、ここで引っかかるのが雇用形態の話。
成田氏は長期間フリーランス契約で働いていたという情報が業界筋から出ています。
2023年頃に正社員登用されたとの話もあるのですが、長い間「社員ではないけど社内にいる」という微妙な立ち位置で動いていた可能性が高いのです。
この雇用形態の問題は後のセクションで詳しく触れますが、今回の隠蔽と無関係ではなさそうだなと感じています。
成田氏の担当作品を並べてみると、マンガワンの中でもかなりの売れ筋を手がけていたことがわかります。
代表的なのは『うしろの正面カムイさん』で、お色気とホラーとコメディが混ざった作風が人気を集め、累計100万部を超えるヒット作になっていました。
他にも『裏バイト:逃亡禁止』『妖怪殲滅のサイコリリー』『江口さんはゲーム脳』『あくたの死に際』『遥かなるマナーバトル』などが並びます。
タイトルを眺めればわかる通り、いわゆる「裏」要素の強い、ちょっとダークでエッジの効いた作品を好んで手がけていた印象です。
そしてもちろん、今回の問題の中心にある『堕天作戦』と『常人仮面』。
堕天作戦は山本章一名義で2015年から連載していた作品で、WEBマンガ総選挙2019で3位入賞を果たすほどの人気がありました。
常人仮面は山本氏が「一路一」という別名義で原作を書き、鶴吉繪理氏が作画を担当した作品。
どちらも成田氏が担当編集者でした。
騒動前のXプロフィール欄にも担当作がずらりと並んでいたそうで、マンガワンの稼ぎ頭を複数抱えるエース級の存在。
だからこそ、山本氏という「売れる作家」を手放せなかったのかもしれない。
そう考えてしまうのは、たぶん私だけではないでしょう。
成田氏はマンガワンの公式YouTube番組「ウラ漫 ―漫画の裏側密着―」に頻繁に出演しており、漫画編集者としてはかなりの露出がありました。
残業だらけの日常や作家との密着取材をドキュメンタリー形式で見せるスタイルで、ファンの間では「個性的で面白い編集者」として親しまれていた人物です。
2019年のDIME誌では「お盆進行中の過酷な1日」という密着記事も出ていて、ラーメン好き、お酒好き、ソフトクリーム好き、地下アイドル好きといった人物像が紹介されていました。
2025年にはリアルイベント「ウラバナシ」にも登壇し、担当作家たちとファンの前でトークを繰り広げていたといいます。
いわば、マンガワンの「顔」のような存在だったわけです。
こうした「愛すべき変人キャラ」として知られていた人物が、裏では性加害者の作家にペンネームを変えて仕事を回し、被害女性に口止め交渉を仕掛けていた。
しかも過去に上げていた作家との飲み写真やランチ写真が騒動で一斉に掘り返され、「トリュフパスタを楽しんでた人が口止め交渉もしてたの?」と衝撃が広がりました。
表に立って人気を集めていた分だけ、ギャップが激しすぎたのでしょう。
業界内での評価も「作家発掘力が高い」「熱量がすごい」から、一夜にして「倫理観が完全に壊れている」へと一変してしまいました。
ここまで成田氏の経歴を追ってきましたが、冷静に考えるべきポイントがあります。
本当にこの人一人で、ここまでのことができたのかという問題です。
被害者との口止め交渉、逮捕事実を伏せた別名義での新連載、作画担当への3年間の情報遮断。
どう見ても中堅編集者が独断でやれる範囲を超えていると感じざるを得ません。
ネット上、特にYahoo!ニュースのコメント欄やnoteの考察記事で、成田氏と並んで繰り返し登場する名前があります。
和田裕樹氏。
事件当時、マンガワンの編集長を務めていた人物です。
和田氏は2016年頃から2022年10月頃までマンガワンのトップにいたとされています。
LinkedInなどの情報から確認されており、コロコロコミックや少年サンデーの編集部を経てマンガワンに来たベテラン。
つまり、山本章一が2020年に児童ポルノ法違反で罰金30万円の略式起訴を受けてから、2022年に「一路一」名義で再起用されるまでの全期間、この人がまさに編集長の椅子に座っていたわけです。
なお、性交に関する部分は不起訴になっていますが、それで罪が軽くなるわけではないことは言うまでもありません。
漫画の連載を新しく始めるには、企画書を作って編集会議にかけ、編集長がGOサインを出すというプロセスが必要になります。
成田氏が現場で「山本氏を別名義で使いたい」と提案し、和田氏が承認した。
ネットではこの構図がほぼ定説として固まっている状況です。
決定打になったのは、元マンガワン作家の江野朱美氏がnoteで「当時のマンガワン編集長は和田裕樹氏」と明確に名指ししたこと。
これがきっかけでYahoo!コメント欄での「和田裕樹」の露出が一気に増えたという流れがあります。
気になるのは、和田氏が現在は小学館ユニバーサルメディア事業局のプロデューサーに異動済みだということ。
マンガワンの現場からはすでに離れています。
しかも騒動直後、LinkedInのアカウントが削除されたとの報告もあり、ネットでは「責任を取らずに逃げた」「昇進して異動して知らん顔か」と怒りの声が噴出。
ただしLinkedInについては「現在は一部閲覧可能」との情報もあり、状況は流動的なようです。
2月27日に出された小学館の公式声明には、「原作者の起用判断および確認体制に問題があった」「編集部として責任を重く受け止めております」と書かれていました。
注目すべきは「編集部として」という主語です。
成田個人の名前は出さない。
編集長や上層部の名前も出さない。
「編集部」というふわっとした主語で責任を認めている形になっています。
裏を返せば、成田一人の問題ではなく複数の人間が関わっていたことを暗に認めているとも読めるのではないでしょうか。
そもそも別名義で連載を開始するには、契約書の作成が不可欠です。
そこにはペンネームの記載や身元確認の条項が含まれるのが一般的で、逮捕歴のある人物を別名義で通すなら法務チェックや事業局長レベルの審査も本来は通るはず。
それがスルーされたということは、意図的に情報が伏せられたか、上が黙認したかのどちらかでしょう。
「確認体制の不備」という言葉で片づく話とは到底思えません。
声明の中には「編集部が組織として関与する意図はありませんでした」という一文もあったのですが、これがかえって火に油を注ぐ結果に。
「意図がなかった?じゃあなんで3者のLINEグループに編集者が入ってるの?」「口止めの金額まで提案しておいて意図はないって?」という声がSNSに溢れたのも、無理のない反応だったと思います。
もうひとつ、見逃せない論点があります。
先ほど触れた通り、成田氏は長期間フリーランス契約で働いていた可能性が高い。
この雇用形態が、今回の隠蔽をある意味で「やりやすく」してしまった面があるのではないでしょうか。
フリーランスの編集者というのは、会社に所属しながらも正社員ほどガチガチに管理されない立場です。
裁量が大きく、作家との関係も密接に築きやすい。
それ自体は悪いことではないのですが、何か問題が起きた時にどうなるかというと……。
会社側は「フリーランスが勝手にやったこと」と言いやすくなり、本人側は「会社の指示に従っただけ」と主張しやすくなる。
つまり責任の所在がどこにあるのか、極めて曖昧になるのです。
今回のケースで言えば、「フリーランスだったからこそ独断で動けた」という見方と、「フリーランスだったからこそ上が知らないふりをしやすかった」という見方の両方が成り立ちます。
どちらの解釈を取るにしても、この雇用形態が隠蔽のハードルを下げてしまった可能性は否定できないでしょう。
正社員であれば、社内のコンプライアンス研修や報告義務がもっと厳しく適用されるはずです。
フリーランスという立場が一種の「抜け穴」として機能してしまったのだとすれば、これは成田氏個人の問題を超えた、業界の構造的な課題と言えるのかもしれません。
騒動が大きくなるにつれ、ネットユーザーたちの矛先が向かった先がありました。
成田卓哉氏のXアカウント(@Narita_MangaOne)の過去投稿です。
騒動初期の2月27日頃、一部のユーザーから「成田氏のアカウントが消えた」「フォローから外れた」との報告が出回り、「証拠隠滅では?」と一時大騒ぎになりました。
ただし、2月28日時点で確認したところ、アカウント自体は普通に存在しており、プロフィールや過去の投稿も閲覧可能な状態です。
騒動初期の「消えた」情報は、一時的な表示バグやブロック、あるいはユーザー側の勘違いが原因だった可能性が高いでしょう。
ここは正確にお伝えしておきたいポイントです。
ただ、アカウントが残っていること自体が、別の意味で炎上の燃料になっています。
というのも、過去に投稿された山本氏との飲み写真や食事の様子、常人仮面のPR投稿、さらには判決前後に上げていた日常的なポストまで、ありとあらゆる投稿がスクリーンショットで保存・拡散されているのです。
「トリュフのパスタを楽しんでた人が、裏では口止め交渉もしてたの?」という怒りの声は、写真という動かぬ証拠があるからこそ、ここまでの説得力を持ってしまっている。
特にネットで注目を集めたのが、事件について一切触れず、ハチワレちゃん(ちいかわのキャラクター)関連の投稿や日常ツイートを続けていたこと。
「被害者がPTSDで苦しんでる横で、推しキャラの話をしてるってどういう神経?」という声がSNSに溢れたのも、正直、無理もないと思います。
本人にとっては普通の日常だったのかもしれませんが、事件の内容を知っている側から見ると、その温度差がどうしても「反省がない」と映ってしまう。
なお、当時の編集長・和田裕樹氏についてはLinkedInアカウントの削除疑惑が一部で報じられました。
こちらについても情報は流動的で、完全に削除されたのか一時的な非公開だったのかは確定していません。
ただ、騒動の渦中で関係者のSNSが動くこと自体に敏感になっているネットの空気は、十分に理解できるものがあります。
5chやXでは「逃げ得は絶対に許さない」「スクショは永遠に残る」「被害者への謝罪もないまま日常ツイート続けるって何?」と、収まる気配のない批判が続いています。
アカウントを消そうが消すまいが、過去の投稿はすでに大量に保存・拡散済み。
インターネットという場所の怖さを、改めて感じさせられます。
ここまで見てきて改めて思うのは、今回の問題は成田卓哉氏個人の話にとどまらないということです。
編集者が性犯罪者の作家を守り、被害者を黙らせようとし、それが発覚しても組織として説明責任を果たさない。
この流れを可能にしてしまった組織の体質こそが、本質的な問題なのだと感じます。
セクシー田中さん事件の時も、初動で沈黙して批判が膨れ上がってから最小限の対応を出すという同じパターンでした。
雷句誠氏の原稿紛失問題では「漫画家に屈してはならない」という社内FAXの存在が暴露されています。
何かが起きるたびに隠し、批判されたら最小限でしのぎ、核心にはぼかしを入れる。
その繰り返しが、小学館という出版社の信用をここまで追い詰めてしまったのでしょう。
被害女性はDIDとPTSDを発症し、民事判決後の現在も後遺症が続いていると報じられています。
作画を担当した鶴吉繪理氏は何も知らされないまま3年間描き続け、最終巻の発売1週間後に作品を奪われました。
読者はずっと応援してきた作品の裏側に性犯罪があったと知り、深い裏切りを感じています。
過去の投稿を掘り返されても、責任は逃れられない。
SNSを消したところで、やったことは消えない。
そう感じている人は、きっと少なくないはずです。
2026年2月27日に出された公式謝罪後も、マンガワン公式ポストのリプライ欄は批判一色で、アプリへの通報や不買運動が続いている状態です。
成田氏・和田氏への処分は、2月28日現在いまだ発表されていません。
小学館がこの先どう動くのか、再発防止策の具体的な中身はいつ示されるのか。
新しい動きが出てき次第、引き続き追っていきたいと思います。
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