松本人志さんが登場することで注目を集めた、『ダウンタウン+』。
その初回放送で、松本さんの前に静かに座って進行を務めていた“白髪の男性”が話題になりました。
「誰この人?」
「原西?違うよな?」
「なんか見覚えある…」
SNSではそんな声が続出し、放送後すぐにトレンド入り。
名前も名乗らず、テロップすら出なかった“謎の人物”──
進行役は、西田二郎さんだったようです。
番組の裏で起きた仕掛け、視聴者の反応、そして西田さん自身のキャリアと新たな挑戦まで、エンタメの裏側をじっくりひも解いていきます。
2025年11月1日『ダウンタウン+』の第1回放送がスタートしました。
そして番組が始まるやいなや、画面に映ったのはすっかりスリムになった松本さんと、その隣で落ち着いた口調で話を回す白髪の男性。
この“謎の進行役”に、視聴者のが一斉にザワつきました。
「誰この人?」
「原西でも高須ちゃんでもないよね…?」
「いや、声だけ聞いたら聞き覚えある気も…」
そんな疑問の嵐が、X(旧Twitter)にリアルタイムで飛び交い始めたのです。
答えは放送作家・西田二郎さん(高須光聖さんの盟友としても知られる人物)でした。
番組中では名前のテロップも出ず、本人も名乗らないという“静かな登場”だったため、余計に視聴者の興味をかき立てたのでしょう。
放送直後、SNSでは「#ダウンタウンプラス」がXのトレンド1位に。
配信の同時接続数は15万人を超え、一部では「サーバーが重い」「一瞬止まった」との声もあがるほどの盛況ぶりでした。
ネット上では、こんな反応も。
「進行の人、プロすぎて誰かわからんけど空気が完璧」
「しゃべり方に品があって、松本さんがすごくしゃべりやすそうだった」
中には、かつての『ダウンタウンDX』や西田さんのYouTubeチャンネルでの語り口と照らし合わせ、「あの声、間違いない」と“声紋鑑定”ばりに特定する人まで登場。
ただ、おもしろいのは、その正体が分かった後も「なんで名乗らなかったの?」「本人なのに隠れすぎ」といったコメントが多数あったこと。
その“控えめすぎる進行”が逆に話題を呼ぶという、いわば“狙ったのか天然なのか分からない演出”が功を奏したともいえるでしょう。
まさに「裏方のレジェンド」が前に出すぎず、でも誰よりも番組の空気を支えていた。
それがこの日、多くの視聴者にとって「西田二郎って、ただの裏方じゃないんだ…」と再認識させるきっかけになったわけです。
かつてテレビの裏で数々の名作を生み出してきた男が、いま再び表舞台に。
でも“ひとり語り出さない”。
そこに、この夜の“妙味”がありました。
テレビ好きなら一度は見たことがあるであろう、あのロングセラー番組『ダウンタウンDX』。
じつはこの番組、1993年10月の初回放送から、演出を任されていたのが西田二郎さんなんです。
そのころはまだ深夜帯で、今ほど“全国区の人気”とはいえなかった時代。
けれど、彼はすでに「これは伸びる」と感じていたそうで、そこから数々の名物コーナーが生まれていきます。
たとえば、“芸能人私服チェック”。
いまではすっかりおなじみのコーナーですが、当時は「スターの服をイジる」なんて発想自体が珍しかったんです。
ほかにも「視聴者は見た!」など、ちょっとバカバカしくて、でもつい見ちゃう仕掛けをいくつも考案。
視聴者の“素朴な好奇心”をくすぐるのが、西田さんの十八番(おはこ)でした。
そして1998年。
彼は一度読売テレビを離れ、吉本興業が手がけた制作会社「ワイズビジョン」に所属します。
そこで担当したのが、こちらの番組たち。
この時期は、ダウンタウンのふたりの魅力を“深掘りする番組”が多く、まさに「内輪ノリすれすれ」を、絶妙なバランスで“テレビ向き”に仕立てる技術が求められていました。
特に『松紳』なんて、松本人志さんと島田紳助さんが、テーブル越しにひたすらしゃべるだけという“異色の番組”。
なのに、見ている側はなぜか引き込まれてしまう。
あの“何もしないで面白い”空気を作れたのは、西田さんの仕業(しわざ)と言っても過言じゃありません。
そして2005年、彼は読売テレビへ“復帰”……ではなく、編成局へ異動。
現場からは少し離れた立場となり、今度は「番組をどう通すか」「どう広げていくか」という戦略面にも関わるようになっていきます。
それでも彼のなかでは、「現場感覚だけは捨てたくない」という思いがずっとあったようで
テレビの枠を超えた活動にもどんどん挑戦していくんです。
2014年には、『水曜どうでしょう』の藤村忠寿さんと共に、「未来のテレビを考える会」を立ち上げ。
地方イベントなどでトークセッションを開催し、「テレビはどこへ向かうのか」を、まじめに語り合う場を設けました。
さらに2019年には、マキタスポーツさんとの共著『バカの壁とツッコミどころ』を出版。
“バカとは何か”をテーマに、ユーモアと鋭さが同居する内容で累計20万部のヒット作となりました。
そして今。
西田さんは、自身のYouTubeチャンネル『西田二郎の裏方チャンネル』で、かつての“DXの舞台裏”を惜しげもなく公開中。
チャンネル登録者は2025年10月時点で15万人を突破。
なかでも、ダウンタウンに関する裏話動画は再生100万回を超える人気ぶりです。
表舞台に出ることは少なくとも、その裏にある“空気”や“笑いの設計”は、いつだって彼が支えていた。
だからこそ、あの日『ダウンタウン+』の画面に現れたとき、
「この人がしゃべってると、なんか落ち着く」
そう感じた人が多かったのかもしれません。
2025年3月末、読売テレビを退職した西田二郎さん。
そこから“おつかれさまモード”に入るかと思いきや……まさかの大展開が待っていました。
まず4月には、動画マーケティング会社・エビリーの顧問に就任。
そして6月には、静岡新聞社と静岡放送のCCIO(チーフ・コンテンツ・イノベーション・オフィサー)に抜てき。
なんと立て続けに、2つのポジションでメディア界を動かす側に回ったんです。
とくに地方局の改革やYouTube戦略に詳しい西田さんは、「テレビとネットの橋渡しができる人」として引っぱりだこ。
「いまどきの若者が見たくなる動画って?」
「ネットでも“面白い番組”って成立するの?」
そんな問いに、現場の体験と勘でこたえられる数少ない存在なんです。
でも、それだけじゃありません。
彼は表現者としても、しれっとカムバックしていました。
音楽ユニット「Nj(エヌジェイ)」として活動を再開。
2024年7月26日には、南青山MANDALAで『Nj Carnival』というライブを開催。
Masumi OrmandyさんやKengo.さんらをゲストに迎え、約5年ぶりのステージは大盛況でした。
ステージで歌う元テレビマン
このギャップに驚いた人も多かったはずですが、西田さんにとっては「伝える方法が変わっただけ」だったのかもしれません。
そして迎えた2025年11月1日。
松本人志さんの本格復帰番組『ダウンタウン+』第1回配信に、進行役として登場。
画面のすみに静かに座り、いつもの口調で番組を回すその姿に、視聴者の注目が一気に集まりました。
配信後、X(旧Twitter)では「西田二郎 進行役」がトレンド入り。
「声で気づいた!DXの西田さんだ」
「名乗らない感じがカッコいい」
「この空気の作り方、まさに職人」
といった投稿が続出しました。
表舞台に出たわけではない。
名乗ったわけでもない。
けれど、あの“たたずまい”だけで空気を変える力があった。
それが、まさに西田さんという人の真髄(しんずい)なんだと思います。
This website uses cookies.